首相の国会出席は多すぎる?「国会改革」議論の背景は
与党と野党の間でいよいよ「国会改革」の協議が始まりました。国会改革には、会期の問題や委員長に支払われる手当の廃止など、さまざまな課題がありますが、今回焦点となっているのは「首相や閣僚の国会出席ルールの見直し」です。つまり、首相や閣僚が国会審議に出席する時間を少なくし、国会答弁の負担を減らそうというのです。しかし、「決められない政治」が問題になるなど、法案審議や首相の指導力が重要になっているなかで、なぜこうした国会改革が必要なのでしょうか。 [図解]「内閣人事局」公務員制度改革の行方は?
他国と比べて多い出席日数
実は、国会では以前から首相や閣僚の国会出席をめぐり、与野党間でせめぎ合いが続いていました。首相や閣僚に答弁を要求する野党に対し、与党側は「国会出席が多すぎる」と不満を持っていたのです。 確かに、諸外国のリーダーと比べると、日本の首相が年間127日も国会に出席しているのに対し、イギリスは36日、フランスは12日、ドイツも11日にすぎません(大学教授や財界人らが作った民間団体「日本アカデメイア」による調査)。首相や閣僚が国会に長時間拘束されると、外国訪問や国際会議への出席、ほかの公務など、国会以外の仕事をする時間がなくなってしまうという弊害も指摘されてきました。今回の国会改革は、こうした危機感が与党側に強まり、もっと効率的で実のある国会にしようという考えから出てきた議論なのです。
具体的にどのように国会改革をするのでしょうか。自民党が検討している改革案のポイントは、次の通りです。まず、首相の委員会への出席は国会論戦の中心である予算委員会だけに限定し、出席時間の上限も設ける。各委員会の答弁は、閣僚ではなく副大臣や政務官が担当し、そのかわりに「党首討論」を充実させる。また、閣僚と野党の政策責任者の「大臣討論」なども新設する、とされています。
党首討論も十分開かれず
もっとも、首相の国会出席を減らし、党首討論を増やせば問題が解決するわけではありません。この国会改革は、審議の活性化を目指して1999年に成立した「国会活性化法」が始まりで、党首討論や副大臣もこの法律によって導入された仕組みでした。