首相の国会出席は多すぎる?「国会改革」議論の背景は
しかし、党首討論は当初「週1回開催」が原則とされていましたが、今年の通常国会では1回しか開かれていません。さらに、党首討論の導入とともに「首相の予算委員会への出席は基本的質疑と締めくくり質疑のみとする」という申し合わせもできましたが、このルールもまったく守られませんでした。首相や閣僚に質問を要求し、国会で答弁してもらうのは野党にとって重要な戦術ですが、与党側にすれば、首相が追及されるような場面はできるだけ減らしたいのが本音。国会答弁や党首討論が増えれば、そういうリスクが増えるともいえます。 いま審議の充実化を訴えている民主党も、2009年の政権獲得後、首相や閣僚の国会出席を減らすように野党側に提案しています。
国会出席は議会政治の基本
そもそも、首相や閣僚が国会に出席し、審議に応じることは議会制政治の基本であるはずです。そのため憲法も、第63条で首相と閣僚の国会への出席義務と出席権を規定しているのです。その国会審議の改革が与野党の利害のために利用されるようなことになったら、国民は政治に冷ややかな目を向けます。改革という以上、しっかりと意味のあるルール作りを実現してもらいたいものです。 (野中ツトム/清談社)