増加する“居酒屋をカフェ感覚で利用する”人たち 「ファミレスの深夜営業が減って」「煙草を吸えないカフェが増えた」…店側もノンアル飲料やデザートメニューで対応
ノンアルメニューも豊富になった
神奈川県で自営業を営んでいるTさん(30代男性)は、「居酒屋のノンアルコールメニューが豊富になった」と時代の変化を喜ぶ。 「僕はアルコールはあまり飲めないんですけど、酒のつまみは好き。ただ、お酒を飲まないのに居酒屋に行くのは気が引けていましたが、最近はノンアルコール飲料やソフトドリンクを各種取り揃えるお店も増え、仮に飲まない人だけで行っても楽しめるようになりました。 逆に、ちょっと休憩して食事も楽しみたいという場合に、カフェやファミレスだとコスパが悪いと感じるようになりました。カフェではコーヒー1杯500円、高い店では1000円するところもありますし、ファミレスでもご飯を食べでコーヒーを飲んだらあっという間に3000円ぐらいする。同じ3000円なら居酒屋のほうが選択肢は多いです」 子供連れの外食時に居酒屋を利用するというのは、都内にある美容室勤務のRさん(30代/男性)。 「居酒屋って、案外ちゃんとご飯モノもあるし、おかずになるつまみもあって、たくさんの種類のものを食べられる。ファミレスより便利なので、時々行きます。ただもちろん、雰囲気は選びますが」
深夜営業がありがたい
大学生のOさん(20代男性)は、これまで友人らと集まる時はカフェやファミレスに行っていたが、居酒屋に直行することが増えたという。 「友人たちと集まってダラダラしたいなというとき、コロナ禍以降うちの近くのカフェやファミレスがどこも22時とか23時で閉まるようになってしまい、居酒屋だけが24時以降も開いているんです。あと今は、居酒屋でも普通にWi-Fiが通ってるところも多くて便利なんですよね」(Tさん)
複数店舗を運営する居酒屋オーナー側も工夫
都内で居酒屋を数店舗運営しているYさん(30代男性)によると、「他に深夜帯にやっている店が少なくなった影響はあると思います」と話す。 「これまでならファミレスに集まっていたような大学生グループや、ママ友グループの割合は以前より多くなった印象です。そういう利用に合わせて店側もデザートメニューを複数もうけるといった工夫をするようになりました。 ソフトドリンクの種類も増やしていて、烏龍茶とオレンジジュース、コーラといった定番のものの他に、ジャスミンティー、緑茶、ほうじ茶、ラムネなどを用意し、さまざまな好みの方に選んでもらえるようにしています」 ただしYさんは、同時に悩ましさも口にする。 「幅広く使っていただけるのはありがたいし嬉しいのですが、やはりどうしてもアルコールを飲まない方は客単価が低くなりやすい。今後はデザートメニューの単価は少し高めに設定する、深夜帯はサービス料金を設定するなど、店の経営のための工夫を考えないといけない」(Yさん) 夜遅くまで営業し、酒も飲め、食べ物もある居酒屋が、これまでとはまた違う存在感を放ち始めているようだ。(了)