気候変動が空の旅にも影響? 頻発・激甚化する「乱気流」、死亡事故でリスク浮き彫りに
シンガポール航空機が21日、激しい乱気流に見舞われ乗客1人が死亡し、約30人が負傷した事故は、乱気流による航空事故の危険性を改めて浮き彫りにした。英大学の研究によると、気候変動が乱気流をより頻繁かつ激しいものにしている可能性があるという。航空機の利用者は乱気流のリスクをどの程度警戒するべきなのか? <乱気流による事故が多発> 気候変動が、乱気流をより頻繁かつ激しいものにしているのだろうか? シンガポール航空機が21日、激しい乱気流に見舞われ乗客1人が死亡し、約30人が負傷した事故は、乱気流による航空事故の危険性を改めて浮き彫りにした。 乗客 「飛行機が乱気流に入ったと感じ始めた。機体が揺れ始め、どんどんひどくなっていった」 死亡事故は極めてまれだが、乱気流に関連した航空機事故は少なくない。 <乱気流に気候変動が影響?> 英レディング大学が2023年に発表した報告書によると、気候変動により、乱気流は悪化する可能性があるという。 エアラインレイティングス ジェフリー・トーマス編集長 「乱気流は気候変動に伴い、より頻繁になりつつあり、英大学の研究によると、過去40年間で激しい乱気流は55%、中程度の乱気流は37%、わずかな乱気流や軽い乱気流は約17%増加している」 ただこの研究に参加した1人、ポール・ウィリアムズ教授は、気候変動が乱気流に与える影響を理解するためには、さらなる研究が必要であるとも強調している。 <利用者はどの程度警戒すべきか> しかし乗客にとって、安心材料もあるという。「航空業界は、レーダーや高度な気象レーダーなど、技術によって驚異的な進歩を遂げてきた。特にこの20年間で、旅客機にはマルチスキャンと呼ばれる高性能なレーダーが搭載された。乱気流の検知も進歩している」(トーマス編集長) トーマス編集長は、常にシートベルトを着用することの重要性を訴えた。 「公的な義務になるかどうかは別として今回の事件は、航空会社に注意を促すことになると思う。航空会社は、着席中はシートベルトを常に締めることを『推奨します』とアナウンスしている。『推奨』という言葉はやめるべきで、これは義務だ。シートベルトは必ず締めなければならない」(トーマス編集長)