国道417号がついに開通! 事業化から20年、酷道といわれた冠山峠道路とは?
冠山峠道路は順調に整備を進め……事業化20年で開通
このため、国道417号の通行不能区間にトンネルを貫通させる「冠山峠道路」の事業が推進されてきた。 起点は岐阜県揖斐郡揖斐川町塚奥山、終点は福井県今立郡池田町田代、延長は7.8km。そのうち、塚宮ケ原トンネル(延長1.2km)、冠山トンネル(延長4.8km)など大部分がトンネルで、複数の橋梁でつなぐ道だ。林道よりも距離が11.8km短縮され、幅は広く、急カーブや急勾配も解消され、冬期通行規制もなく通年で利用できる、期待の国道である。 その冠山峠道路が、20年の歳月をかけ2023年11月19日に開通した。 しかし、なぜ国道417号の冠山峠道路は事業化から開通までこれほどの歳月を要したのだろうか。トンネルの掘削中にトラブルでも生じたか、それとも、何らかの事情で経路の変更を余儀なくされたか。福井河川国道事務所に問い合わせたところ「道路の整備は予定の通りで、順調に進められた」とのこと。 まず、冠山峠道路は地形の条件が厳しく、高度な技術を要する区間であること。その地形ゆえ、工事用の道路を設けられなかったことがあげられる。 岐阜県側には塚宮ヶ原トンネル、福井県側には冠山トンネルを掘り進めるのに、塚宮ケ原トンネルは岐阜県側から、冠山トンネルは福井県側から、一方向で掘削しなければならなかった。基本的には、トンネルは両端から掘り進めて貫通させるのだが、トンネルの反対側に車両や機材を移送できなかったためだ。また、同じ理由から、掘削中のトンネルを迂回して、途中の橋梁や道路の設置を同時並行で進めることもできなかったという。 何より、冬期間(おおむね12月から5月まで)は工事を停止しなければならず、厳しい工事であったため、当初より時間がかかることは想定されていたという。
祝・冠山峠道路開通! 地域の発展に期待高まる
自治体や居住者の悲願といえる冠山峠道路の開通で、岐阜県の揖斐川町と福井県の池田町の往来も時間が短縮された。岐阜県の揖斐川町から福井県の池田町まで、北陸道・名神高速を利用するルートでは所要時間は約2時間15分(移動距離151km)。これが、冠山峠道路を利用すると所要時間は約1時間25分(移動距離65km)で移動できるようになった。 また北陸自動車道の通行止めの際には、この国道417号冠山峠道路がバックアップ路線となり、岐阜-福井間の往来を支えることができる。
文=KURU KURA編集部 資料=福井河川国道事務所