「ハマの大谷翔平」中川颯だけじゃない 他球団が「打者で見たい」と絶賛する投手は
■貧打の西武にも「打撃に定評ある投手」 パ・リーグ球団のあるスカウトは、西武の山田陽翔の名を挙げた。 近江高では甲子園に3度出場し、大会通算11勝は松坂大輔、島袋洋奨と並ぶ歴代5位タイ。打撃にも定評があり、高校通算31本塁打をマークしている。3年夏の甲子園3回戦・近江戦でバックスクリーンに放った満塁アーチは強烈だった。ドラフト5位で西武に投手として入団したが、前出のスカウトは「僕の評価は断然野手ですね」と言う。 「下半身のパワーを上半身と連動させ、スイングスピードが速いので思った以上に打球が飛ぶ。高めのボールをスタンドに運ぶ技術は教えられるものではない。打席に立った時に怖さを感じる選手はなかなかいません。キャプテンシーがあるし、野手としても面白いと思います」 高卒2年目とまだ若い。投手として将来の先発ローテーション入りを目指すが、西武は若手の野手陣が近年伸び悩み、今季は深刻な貧打で最下位に低迷している。本人の意思もあるが、高い打撃センスを兼ね備えた山田を今後どう育成するか気になるところだ。 ■打者として20本塁打超の可能性 セ・リーグのある編成担当が、「33歳という年齢を考えるとこれからの野手転向は厳しいですが、打者だったらどこまでいったか見たかった」と名前を挙げたのが阪神の秋山拓巳だ。 「西条高校の時から打球の速さ、飛距離がすごかった。もちろん投手としても評価が高かったですが、スラッガーはなかなか出てこない。プロの世界で打者として挑戦したら20本塁打超の打者になった可能性は十分にあると思います」 秋山は2ケタ勝利を3度マークするなど先発ローテーションで活躍していたが、近年はファーム暮らしが長くなり、昨年は2試合登板で未勝利。今季はまだ1軍登板がない。
■野手に転向して首位打者をとった糸井 過去の歴史を紐解くと、投手から野手に転向して才能を開花させた選手は少なくない。代表的な例が雄平、糸井嘉男だろう。 雄平は150キロを超える直球を武器に東北高で「高校№1左腕」と称され、ドラフト1位でヤクルトに入団したが制球難を克服できず、プロ8年目の10年に野手転向。14年に打率.316、23本塁打、90打点をマークしてベストナインに選出されるなど主力打者として貢献した。 糸井は近大から日本ハムに自由獲得枠で投手として入団したが、プロ入り2年間は「鳴かず飛ばず」で3年目に野手転向。高い身体能力を生かしたスケールの大きいプレースタイルで首位打者、盗塁王を獲得し、外野の守備でもゴールデングラブ賞を7度受賞。球界を代表する選手として活躍し、41歳までプレーした。 野手となっても、投手として過ごした時間は決して無駄ではない。野手転向を決断し、雄平、糸井のように光り輝く選手が今後誕生するだろうか。 (今川秀悟)
今川秀悟