「逆立ち」着陸の原因は着火遅れ SLIM、過大衝撃でノズル破損
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は26日、世界初の月面ピンポイント着陸に成功した探査機「SLIM(スリム)」が逆立ち状態で着陸した原因は、主エンジン2基のうち1基の着火タイミングが遅れたためだったと発表した。着火が遅れたことで滞留した燃料に引火し、過大な着火衝撃で噴射ノズルが破損し、推力を失ったとしている。 【写真】月面でメインエンジンが上を向いた状態の探査機「SLIM(スリム)」
SLIMは1月20日、月の赤道南側にあるクレーター付近に降りた。だが直前に高度50メートル付近で異常が生じ、頭側を下にして着地した。調査の結果、主エンジンと補助エンジンの噴射が重なって燃料供給圧力が低下し、着火しづらくなっていたことが判明。想定より約1秒遅れて着火したが、エンジン内にたまった燃料に引火し、大きな衝撃が起きたという。 月面着陸の成功は世界5カ国目。狙った場所から100メートル以内に降りる技術実証が目的で、目標から東側に約55メートルという高精度だった。太陽電池パネルが横を向く姿勢だったため一時的に発電できなくなったが、低温の夜に耐える「越夜」も3回達成した。