【毎日書評】仕事の成果をあげる!自分にやさしくする「セルフ・コンパッション」実践法
必死にがんばってはいるものの、期待どおりの成果を出すことができない。一時的に成果が出たとしても、容赦なく次の要求へのプレッシャーがのしかかってくる──。 『すぐれたリーダーほど自分にやさしい 疲れ切らずに活躍するセルフ・コンパッションの技術』(若杉忠弘 著、かんき出版)の著者によれば、そんな状況下で心身ともに疲れ切っているリーダーが増えているのだそうです。 注目すべきは、自分自身への厳しさが、疲れ切っている心身をより疲れさせてしまうのだという指摘。疲弊しているときに自己批判的な態度で自分を追い込んでしまうからこそ、心身の健康を害し、リーダーとして活躍を続けることが難しくなってしまうということです。 著者によれば、そうした状況を打開するための新しいスキルが「セルフ・コンパッション」。本書は、「仕事に疲れ切らずに、成果を上げたい」と望むすべてのリーダーに向け、セルフ・コンパッションの技術を届けようという意図のもとに書かれたものなのです。 セルフ・コンパッションとは、ひと言で言えば、「自分にやさしくすること」。そうすることで、自分自身で心身を整え、安心感を得て、自信をもって前に進むことができます。 セルフ・コンパッションの技術を身につけることで、疲弊感や自己犠牲感が減り、自分、チーム、そして組織の成果を効果的に生み出すことができます。(「はじめに」より) 端的にいえば、リーダーは自己批判ではなく、自己肯定を大切にしなければいけないということ。自分へのやさしさが強さを生み、それが仕事の成果へとつながっていくわけです。 だとすれば、セルフ・コンパッションについての基礎的な部分を確認してきたいところではあります。そこで、きょうは序章「もう、自己批判はやめよう」に焦点を当ててみることにしましょう。
無意識で、自分にダメ出ししていませんか?
私たちの多くは知らず知らずのうちに、自分自身に対して批判的なことばを浴びせていることがあるのだそうです。しかし自己批判を続けていては、どんどん自信をなくしてしまうばかり。では、どうしたらいいのでしょうか? 著者によれば、ヒントは友人や同僚への接し方にあるようです。多くの人は、友人や同僚が落ち込んでいるとき、寄り添って理解を示し、励ましのことばをかけるのではないでしょうか。つまり大切なのは、そうしたやさしさを自分にも向けること。それが、セルフ・コンパッションなのです。 コンパッションはやさしさや思いやりという意味です。コンパッションを自分、つまりセルフに向けるので、セルフ・コンパッションといいます。セルフ・コンパッションとは、大切な友人に接するように、自分自身にも接することです。(28~29ページより) 簡単すぎるようにも思えますが、日々の生活にセルフ・コンパッションを取り入れると、多くのメリットがあるのだそうです。 まず、ストレスが減り、不安も減り、心が落ち着いてきます。 仕事で疲れ切ることも少ない。気分が落ち込んだり、憂うつな気分を感じたりすることも減ります。何でも完璧にしようとするあまり、身動きがとれないということも減ります。 新しいことにチャレンジする恐怖や失敗への不安にも、対処できるようになります。(29ページより) そればかりか、幸福感が高まって、仕事にも熱中できるようにもなるそう。希望や楽観的な見方が助けにもなってくれるので、難しい局面を乗り切る自信や胆力も出てくるといいます。 セルフ・コンパッションを取り入れている人は、仕事の失敗やキャリアの挫折など、心が折れるようなことが起きたとしても、早く回復します。 セルフ・コンパッションを行うことで、体も健康になることが知られています。実際、セルフ・コンパッションができるようになると、免疫力が高まり、体調が整いやすくなります。(29~30ページより) なお、これらの効果は最近の心理学などの研究によって裏づけられているものなのだそうです。(26ページより)