久保建英をU-20W杯代表に選ばず今“飛び級”させることに意味があるのか?
確かにFIFAは拘束力の有無を規定で謳っていて、1年間で2つの大陸選手権に出場することを禁止はしていない。しかし、そびえ立つ高く、険しいハードルを乗り越えていくためには、選手の所属クラブと粘り強く交渉し、一人ずつ了解を取りつけていく作業が求められる。 根本的な問題として、海外組の所属クラブはアジアの日本がなぜコパ・アメリカに出場するのかが理解できない。ゆえに来たる新シーズンに備えて休養を与えるべきオフに、選手にコパ・アメリカを戦わせることに首を縦に振らない。コパ・アメリカ期間中もリーグ戦やYBCルヴァンカップのプレーオフ、ACLの決勝トーナメント1回戦が控える国内組の招集も当然ながら難航する。 アジアカップに招集されていなかったからと言って、もちろんコパ・アメリカへの選手派遣が認められる保証もない。コパ・アメリカへ向けた関塚技術委員長や森保監督のトーンは時間の経過とともにダウンし、最終的には将来へ向けて経験を積ませるという大義名分のもとで、久保をはじめとするU-20代表組の抜擢に踏み切らざるを得ず、クラブ側との交渉を何とかまとめたのが実情だろう。 「私が責任をもって21人を選びました。日本を代表してポーランドで戦う彼らと最高の成績を出せるように、自分たちの力をすべて出せるように準備をしていきたい」 記者会見の席で影山監督は努めて前を向いた。技術委員会の不手際と言ってもいい交渉失敗の煽りを受けるかたちで、攻撃陣のダブルエースと成長著しい守護神候補を欠いたU-20代表は、国内短期キャンプをへて14日に決戦の地ポーランドへ出発。現地時間23日にエクアドル、26日にメキシコ、29日にはイタリアの各U-20代表とのグループリーグに臨む。 (文責・藤江直人/スポーツライター)