もっと「センター」を見てみよう【山本萩子の6-4-3を待ちわびて】第120回
みなさんこんにちは、野球大好き山本萩子です。ペナントレースもだんだんと順位が固定されつつありますが......いやいや、ここからです。 【写真】山本キャスターの最新フォトギャラリー 先日の6月23日のヤクルトvs巨人戦で、試合の勝敗を左右する大きなプレーがありました。5回表のヤクルトの攻撃。一死一・二塁、二塁ランナーが村上宗隆選手、一塁ランナーがサンタナ選手という場面で、打席に立った山田哲人選手が2球目をフルスイングしました。 打球は大きなアーチを描いてセンターの左方向へ。フェンスに当たるかと思われましたが、巨人のセンター、ヘルナンデス選手がジャンピングキャッチしました。 その時、二塁ランナーの村上選手が飛び出してしまっていてアウトになり、併殺となってしまいました。1アウトでしたから、基本はいつでも塁に戻れるハーフウェー(塁間の中間地点)で状況を見極めるのが定石ですが、打球の行方を見誤ってしまったんですね。ヤクルトの追い上げムードが一変したこのシーンで強く印象に残ったのは、エルナンデス選手の守備範囲の広さ。足が速くて、大きい! センターは、さまざまな能力を必要とされるポジションです。守備のうまさはもちろん、足の速さ、判断能力、肩の強さ、そしてリーダーシップも。 センターの守備範囲は、いわゆる外野を3分割したものとは違って、ライトやレフトのフォローも必要になります。特に、打撃に特化した外国人選手などを両翼に起用する場合は、広く動き回らないといけません。 外野には序列があるんだそうです。ボールを追って交錯しそうな時は、基本は声をかけ合いながらですが、最終的にどちらが取るかはほぼ決まっているとのこと。最終的にセンターがフライをキャッチすることが多いイメージもありますね。ほぼライトの位置まで走ってキャッチして、記録上はセンターフライになる。そんなことも日常茶飯事です。 センターで大事な必要な能力のひとつは「打球の判断」です。これは、記録だけではわかりづらいのですが、俗に言う「1歩目」というもので、どんな打球かを早く判断すればするほど、いち早く捕球体勢に入れます。どれだけ足が速い選手でも、その判断が遅いと能力を存分に生かすことができません。 センターがどれだけ難しいポジションなのかは、開幕スタメンを勝ち取るルーキーがほとんどいないことからもわかります。今季は巨人のドラフト3位・佐々木俊輔選手はセンターで開幕スタメンだったのですが、なんと86年ぶりだったそうです。そんな佐々木選手も、現在はエルナンデス選手にポジションを譲る形で、レフトで出場することが増えています。