もっと「センター」を見てみよう【山本萩子の6-4-3を待ちわびて】第120回
センターは、もちろん肩が弱くてはいけませんが、必ずしもチームで一番の強肩ではない場合もあります。強肩の選手はライトに配置されることが多いのですが、一塁にランナーがいる場面でライト前ヒットを打たれた際、ランナーが三塁に進むのを防ぎやすい、といった狙いもあります。 最近、特に注目されているライトは、日本ハムの万波中正選手。その強肩で何度もピンチを救い、「送球だけでお金が取れる選手」とも評価されていますね。 一方でセンターに求められるのは、打撃も含めた総合力だと思います。 セ・リーグでは多くの球団が、打線の一番にセンターの選手を起用しています。巨人のエルナンデス選手は中軸を担っていますが、走って、打って、守って、まさに走攻守すべてにおいて高いレベルにある選手がセンターを任されることが多いですね。 個人的には、ヤクルトの塩見泰隆選手がセンターの理想系なのですが、現在は怪我で離脱しており、思ったような活躍できていないことが残念でなりません(もちろん、一番悔しいのはご本人だと思います)。 野球を観戦している時に、私たちがセンターを目で追うのは、投手がボールを投げ、打者がそれを打ち、打球の行方を追うとそれをセンターがキャッチする、という場面が多いと思います。ただ、センターの守備は左右とのバランスを取ったり、プレーごとに他の外野手に指示を出したり、打球の行方を予測して細かくステップを踏んだりと、実は常に動き続けているんです。 別のポジションの選手もワンプレーごとにさまざまな動きをしていますが、試合を観る際に、センターの動きだけに注目するのも面白いと思います。特にランナーが二塁にいる時、センターをじっと見るのが個人的にオススメです。センター前ヒットが出たらそれを拾い上げて、迷うことなく腕を振り、本塁に突っ込むランナーを捕殺。これほど刺激的なシーンはないと思います。 ぜひ、一度お試しください。それではまた来週。 構成/キンマサタカ 撮影/栗山秀作