“推し活“ビジネス千変万化 老舗仏具店参入したら大ヒットーー推し×祭壇=“推し壇“に反響
■推し活用の祭壇が大ヒット アニメキャラクターや芸能人、アイドルなどのファンの間で人気の“推し活”は、一種の宗教のようだと言われることもある。グッズを大量に並べ、自宅に“祭壇”を作っている人は多いだろう。ずらりと缶バッジやアクリルスタンド(アクスタ)などのグッズが並ぶ光景は、千手観音がずらりと並ぶ「三十三間堂」の堂内を思わせる。 【写真】「これAIなの?」「かわいい」しまむら、生成AIモデル・瑠菜(るな)の全身やポーズを決めたカットなど そんな推し活ブームに乗って、あの「お仏壇のはせがわ」が本気で作った“推し壇”を売り出したところ、爆発的なヒットになっているという。定価は9900円(税込)。ホームページによると、本物の神棚を作る際と同じ素材(ヒノキを使用している)と技法で作られているといい、推しへの気持ちを最大限に表現できるのが特徴ということだ。 この“推し壇”、お仏壇のはせがわのオタクな若手社員が企画したとあって、かなりガチ仕様である。アクスタはもちろん、小さいサイズのフィギュアなら余裕でおけそうだ。さらに、付属のLEDテープライトを使えば、赤、黄、緑、青、紫など20色の多様な色彩を出すことができ、21種類の特殊な光り方で自在にライトアップ可能なのだという。 ■アクスタは現代版の御本尊か? さて、アクスタは今や推し活の必携アイテムとなっている。新旧問わずアニメ作品のキャラがアクスタになっていて、基本的にはアクリル板に“推し”の全身がプリントされたものが多い。軽量で手軽に持ち運べるのがウリで、アクスタと一緒に旅行に出かけ、撮影した写真をSNSにUPするファンの姿はいたるところで見られるようになった 例えば、『ラブライブ!サンシャイン!!』の聖地の静岡県沼津市では、アクスタと一緒に地元の料理や絶景の写真を撮影するファンを日常的に見かける。市内にある「つじ写真館」では、8月31日まで「推しと旅して撮ってまちをめぐろう」と題した写真コンテストを開催している。沼津の景色をバックに撮影した、“推し”のアクスタやフィギュアの写真を応募するというものだ。 アクスタは様々なイベントの定番グッズとなっており、なんと仏像の写真をプリントしたアクスタまで現れた。2024年1月23日~ 4月14日まで東京国立博物館で開催された「建立900年 特別展『中尊寺金色堂』」では、金色堂の堂内を再現できる仏像のアクスタが大人気であった。 JR東海の「いざいざ奈良」キャンペーンでも、岡寺、阿部文珠院、室生寺、長谷寺など大和四寺の仏像をかたどったアクリルスタンドをもらうことができる。いずれも、本物の仏像の写真がプリントされているため、ちょっとしたお守り本尊のように活用できそうでもある。 日本人は宗教と縁がないといわれることも多いが、こうしてみると、推し活は一種の宗教行為であり、何かとストレスが多い現代人の心のよりどころになっているかもしれない……と感じてしまうのである。
文=山内貴範