「変形性膝関節症」発症リスクを上げる危険因子が明らかに。防ぐ方法は?最新研究結果が示唆
脚の筋肉を鍛えることによって、変形性膝関節症の進行を遅らせたり、発症をなくしたりできる可能性があることが新しい研究で明らかになった。 変形性膝関節症を発症するリスクが最も高いのは、高齢者、女性、太りすぎの人、また、サッカー、テニス、長距離走など特定のスポーツの経験者である。そして遺伝子や、過去に膝を痛めた経験も関係している。 【写真】「変形性膝関節症」発症リスクを上げる危険因子が明らかに。防ぐ方法は?最新研究結果が示唆 ■筋肉量の重要性 オランダの5,003人の患者から得られたデータを分析した結果、人の総運動量と変形性膝関節症のリスク上昇との間には関連性がないことが明らかになった。その後、研究者らは患者を、水泳やサイクリングなど体重負荷のかからないスポーツをする人と、ウォーキングやランニングなど体重負荷のかかるスポーツをする人の2つのグループに分け調査した。これにより、体重負荷のかかる運動をしている人は、下肢の筋肉量が少ないと変形性膝関節症の発症リスクが高くなることを発見した。 体重負荷のかかるスポーツをする人だけが変形性膝関節症のリスクが高くなることが分かった後、今度は、変形性膝関節症の発症が、関節周囲の筋肉の量に左右されるかどうかを調査した。筋肉量が多ければ多いほど、膝関節内の力学的な力から膝を保護し、和らげることができるため、筋肉が強い人の方が弱い人よりも良い結果が得られるであろうと研究者達は考えた。「まさにその通りでした。筋肉量の多い人には、体重負荷がかかるスポーツによる変形性膝関節症の発症リスクの上昇は見られなかったのです。」と、この研究の共著者で、オランダのエラスムス医療センターの教授、ジョイス・ヴァン・ムールス博士は話す。 研究者らは、身体活動には多くの健康上の利点があるが、下肢の筋肉量が低い人が体重負荷がかかる活動を行う際には注意が必要であるとしている。この研究結果は重要であるが、まだまだ解明すべきことはあるとヴァン・ムールス氏は言う。例えば、変形性膝関節症の最大の危険因子は体重であることが科学者の間では知られている。 今回調査したデータは、平均BMI26の人たちから得られたものである。(BMIとは身長と体重を基にした体脂肪の指標である。)BMI26は健康的なレベルをわずかに上回っているが、米国の平均BMIよりは低い。この研究結果は、太りすぎや肥満とみなされる人々にも適用できるのだろうか?「完全にはわかりません。高いBMIは変形性膝関節症発症の主要な危険因子です。BMIがこれほど優位であるならば、他の因子はあまり関係がないということもあり得ます。」とヴァン・ムールス氏は答える。 ■安全に動く方法 このような不確定要素はあるものの、この研究は有用な知見を与えてくれている。 膝関節を保護し、怪我を予防するために、ランニングのような体重負荷のかかる運動は始める前に、脚の筋力トレーニングを優先させること、とヴァン・ムール博士は述べている。「体重負荷の大きい運動をする前に、ジムで脚の筋肉を鍛えるトレーニングをしてください。そして、ランニングのような体重負荷のかかる運動を始めるのであれば、ゆっくりと始めることです。筋肉だけでなく、腱も新しいストレスに慣れる必要があります。そうでないと、すぐに怪我をすることになります。」 出典: How to lower or eliminate your risk of knee arthritis, according to a new study|CNN Health Lower Muscle Mass may be Associated with Higher Incidents of Knee Osteoarthritis|WorkersCompensation Weight-bearing activity ups incident knee osteoarthritis in people with low lower-limb muscle mass: Study|Medical press 文/HIDEMI
HIDEMI