母乳からのHIVで子どもを亡くす瞬間に無力感も…FNSチャリティキャンペーン50年、佐々木恭子&倉田大誠アナが語る「伝える」意義
■地震大国の日本だからこそできる支援 昨年は国土の3分の1が水没する被害を受けたパキスタンを、今年は大地震の被害があったネパールを取材した倉田アナは、「支援」という概念が大きく変わったと話す。 「パキスタンは非常に宗教色の強い国で、災害が起きてもすべて“神のおぼし召し”ということで片付けるんです。なので、またモンスーンが来て洪水が起こるかもしれないけど、彼らは同じところに住み続けるし、同じ材料でまた家を作る。それは今年行ったネパールも同じ考えでした。そこで私は“地震の勉強はしていますか?”と、いろいろなところで質問したのですが、どこに行っても“したことはないです”と返ってくる。“防災の術があるなら知りたいですか?”と尋ねると、みんな“知りたい”と言うんです。それを聞いて、支援の形として当然お金は最低限必要なのですが、地震大国の日本にできることとして、もしかしたらその“術”を伝えるということも、お金と並ぶくらい大きな支援なのではないかと思いました」 「最初は正直な気持ち、衛生環境などを見て、現地の人たちを憐(あわれ)むような気持ちがあったんです」と打ち明ける倉田アナ。「でも、我々は現地の水や生の食べ物でお腹を壊してしまうけど、免疫の違う彼らにとっては当たり前のものなんですよね。そうしたことに気づいた時、我々が自信を持ってできる支援として、“防災の術”があると思ったんです」と感じるようになったという。
アナウンサーの原点を感じる直接対話の場
こうした貴重な体験を放送だけでなく、直接の対話によって伝える場として設けられるのが「取材報告会」。系列各局の協力で、主に全国の学校などを訪れ、若い世代の学生たちを対象に実施している。 佐々木アナは「“伝えてくださってありがとうございます”とか“知らないことを知ることができました”と言っていただいて、この話を聞いたのをきっかけに、その後国際支援の仕事を始めたという方もいらっしゃるんです。現地では無力感にさいなまれていましたが、顔が見える相手に伝えるという、アナウンサーの原点も感じることができて、すごくいい機会になりました」と、その意義を感じている。 倉田アナは、番組の映像では伝えきれないエピソードを共有できる貴重な場であると認識。 「今回ネパールに、日本からアルファ米を持っていって農村で夜食べたのですが、そのプラスチックの容器をゴミ箱に捨てますよね。でも、現地の人たちはプラスチック容器のゴミをどう処理していいのか分からなかったらしく、翌朝彼らの畑にそのまま捨てられていたんです。“これはいけない!”、“我々は何のために来たんだ!”と衝撃を受けて、その容器を拾って自分たちで持っていくことにしました。こうした些細なエピソードはVTRでは絶対使われない。小さいことだけど実は大事なことなので、それを語れるのが報告会だと思いますね」