「特定利用」指定に依然慎重 新空港、県は費用対効果確認
石垣市議会の我喜屋隆次議長ら市議団5人は21日、県庁を訪れ、新石垣空港の機能強化に向け「特定利用空港」指定に早急に同意するよう求める意見書を提出した。市議によると、対応した前川智宏土木建築部長は、空港機能の強化には費用対効果の確認が必要との従来の見解を繰り返し、慎重姿勢を崩さなかった。 意見書は9月議会で可決された。「特定利用空港・港湾」は、自衛隊や海上保安庁が円滑に空港・港湾を利用できるようにするため国が創設した制度で、国主導による空港・港湾機能の強化が期待できる。 市議によると、前川部長は新空港の滑走路延長など、空港機能の強化に関する民間需要の有無について調査に入ったと説明した。他の県で空港・港湾の指定に同意した事例が相次いでいるとの指摘に対しては「沖縄の事情もある」と答えた。 意見書を提案した長山家康氏は要請後、取材に対し「県は費用対効果と言うが、離島住民の安心安全を確保するため指定は必要」と強調。県の姿勢が事実上の「ゼロ回答」だったことに不満を示した。 また「本来なら玉城デニー知事や副知事が対応すべきだ」と県の対応が部長レベルだったことも疑問視した。 我喜屋議長も「(指定の可否を)判断できるトップと話ができず残念。このまま指定が遅れるなら、新空港が県管理空港のままでいいのか、国にも意見を聞きたい」と話した。 国は新石垣空港を「特定利用空港」に指定したい意向だが、空港管理者である県の同意が得られない状況が続いている。玉城県政を支える与党は「特定利用」に指定された場合、施設が攻撃対象になるとして指定に反対している。 県は指定後、空港機能強化のため国が支出する予算が沖縄振興予算を圧迫する可能性も懸念している。 市議団は、県管理道路の維持管理予算増額確保を求める意見書も提出した。要請には大浜一郎県議が同行した。