「年収800万円」の夫が死亡。夫が高年収なら、妻は「遺族年金」だけで暮らしていける?“会社員の夫・専業主婦の妻”のケースで試算
配偶者を亡くした場合、条件を満たすと遺族年金が遺族に支給されます。ただし、一般的に遺族年金だけでの生活は難しいと言われることがあります。とはいえ、夫が高収入だったなら、老後の単身生活の生活費くらいはまかなえるのではないかと考える人もいるでしょう。 本記事では平均年収800万円だった会社員の夫が亡くなった場合に受け取れる遺族年金を試算するとともに、いざという時のため、今から備えておく方法にはどのようなものがあるのかを解説します。 ▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
遺族年金の種類
遺族年金にもいくつか種類がありますが、主に「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」「中高齢寡婦加算」が挙げられます。 そして、遺族年金を受給するためにはそれぞれの支給条件を満たさなくてはなりません。今回はのこされた妻が現在一人暮らしで扶養している子どもがいない場合、老後の生活を年金だけでまかなえるかどうかを見ていきます。 「遺族基礎年金」は基本的には18歳未満の子どもがいることが、「中高齢寡婦加算」は妻の年齢が65歳未満の間のみが支給条件です。 そのため、妻が今回もらえる遺族年金は「遺族厚生年金」のみです。
夫が年収800万円の場合、遺族厚生年金はいくら受け取れるのか
妻が受け取れる遺族厚生年金の支給金額は、夫の年収と厚生年金の加入期間によって変動します。 具体的には、遺族厚生年金の支給金額は年額で次のとおりです。 ・平均標準報酬額×5.481/1000×厚生年金の加入月数×3/4 夫の年収が800万円であれば平均標準報酬額は65万円です。そのため、仮に厚生年金に30年間(360ヶ月)加入していて、平均的に年収800万円を得ていたとすると、遺族厚生年金の支給金額は年間96万1916円です。なお、厚生年金の被保険者期間が300月未満の場合、加入月数は300月として計算されます。
妻は老後に自身の老齢基礎年金も受け取れる
専業主婦であった妻は、老後に夫の遺族厚生年金の他に自身の老齢基礎年金も受け取れます。 老齢基礎年金は満額で年間81万6000円(2024年度)が受給可能です。老齢基礎年金の金額は、受給資格期間などの「要件を満たしているかどうか」で決まりますが、今回は満額受給できるとします。 以上から、今回の前提では夫の遺族厚生年金で96万1916円、自身の老齢基礎年金で81万6000円受け取れますので、合計は177万7916円です。