業界の悪しき習慣に縛られて、新しい提案を否定しがちな全ての人へ “好感度ガン無視”で西野亮廣が叫ぶ! 「『やれない』じゃない。『面倒臭いからやってない』だろ?」
「あなたが新しい提案に石を投げてるだけでしょ」
これ、悔しいのが、演劇・ミュージカル業界にも言葉だけじゃなくて、本当に頑張ってる人がいるんです。 頑張っているプロデューサーさんもいらっしゃるんです。 「どうすればいいんだろう?」と毎日もがいて、積極的に勉強会を開かれるプロデューサーさんもいらっしゃるんです。 あの手のニュースを取り上げる時は、そういう頑張っている人の話を聞いて欲しいのですが、あんまり具体的に動いていない人から話を聞くから「時代がねぇ…」とか何とか、茹で上がったジジイみたいな返事が返ってくるんですけども、「時代じゃねぇ! お前だ!」という話です。 「あなたが動いてないだけでしょ?」「あなたが勉強してないだけでしょ?」「あなたが新しい提案に石を投げてるだけでしょ?」という話なんです。 先日の放送でもありましたが、俳優さんや、クリエイターさんに「キンコン西野って、なんかよく分からないけど、悪い人らしいよ?」「仕事しない方がいいんじゃない?」というコメントを送った…というのは本当にあった話で、当時はビックリしました。 「何、この中1のイジメみたいなジメジメした世界は」と思いました。 もちろん僕の知り合いやファンが「アイツとは付き合わない方がいいよぉ~」とか言ってきたら、「キモっ!」と返信をした後に秒でブロックします。 んなもん、僕が誰と付き合うかなんて僕が決めるので。 だけど、演劇・ミュージカル業界は小さな村社会なので、皆が皆、そんなブロックができるわけがなく、きっと、僕と一緒に汗を流してくださっている方々は、いろんなところで苦笑いをしながらバランスをとってくださっているのだと思います。 そんなことを思うと、申し訳ないやら、情けないやら、いろんな感情が渦巻いてきます。
「その提案を潰すと、あなたが損をするからやめてくれ」
で、先日の放送を見ていただいて分かったと思うのですが、僕、ちょっと温度が高いじゃないですか? いつもより激しめですよね? やっぱね、好きになっちゃったんです。 この業界のことも、 この業界で頑張っている人のことも、 そして、この業界を応援してくださっているお客さんのことも。 好きになっちゃったのよ。 だから、もう、お節介かもしれないですが、守りたいんです。なんとしてでも。 だからこそ、あのジメジメした感じとか、グチばっかり言って行動しない感じとか、勉強しない感じとか、あとは新しいものをとりあえず潰しにいく感じとか、やめて欲しいんです。 理由はシンプルです。 「アンタ達の首が絞まるから」です。 昔から応援してくださっている方はご存知だと思いますが、僕は「一人勝ち」にはこれっぽっちも興味ないんです。 それはお笑い業界にいる時も、絵本業界にいる時も、映画業界にいる時もそう。 「こうやったら、皆、得しません?」という提案しかしてないんです。 「クラウドファンディングという選択肢は一旦皆が持っておいた方が良くないっすか?」とか。 「絵本って、そもそも親が子供に買い与えるもので、親は中身が分からない絵本は買わない。つまり絵本はネタバレからスタートしているのだから、だったら全ページ無料公開した方がよくないですか?」とか。 「一般席の値段を下げる為に、VIP席を積極的に作っていった方が良くないですか?」とか。 これら全て「僕が一人勝ちをする為の打ち手」ではなくて、「皆で前に進むための提案」なので、「その提案を潰すと、あなたが損をするからやめてくれ」なんです。 あと、「この業界にいる僕の友達であり、あなたの友達が損をするからやめてくれ」なんです。 本当に、やめて欲しいんです。 僕はもうこの業界に大切な友達ができちゃったから、その人や、その人の家族が苦しむところなんて全然見たくない。 …という、すごく暑苦しい想いが詰まった前回の『BackStory』でございました。 このことを踏まえて、もう一度観ていただけると嬉しいです。 西野亮廣/Akihiro Nishino 1980年生まれ。芸人・絵本作家。モノクロのペン1本で描いた絵本に『Dr.インクの星空キネマ』『ジップ&キャンディ ロボットたちのクリスマス』『オルゴールワールド』。完全分業制によるオールカラーの絵本に『えんとつ町のプペル』『ほんやのポンチョ』『チックタック~約束の時計台~』。小説に『グッド・コマーシャル』。ビジネス書に『魔法のコンパス』『革命のファンファーレ』『新世界』。
TEXT=西野亮廣