バスケ界では八村塁が“苦言” 野球も代表チームの“在り方”に議論も、プレミア12で見えた課題
「侍ジャパン・プロジェクトの目的は代表強化とともにNPBの収入を増やすこと。定期的に試合を開催すれば入場料や放映権料、グッズ売り上げなどでNPBに大きな収入となる。今までオールスターゲームや日本シリーズしか収益の柱がなかった中で侍ジャパンは金のなる木となった」(スポーツマーケティング会社担当者) 侍ジャパンは2012年に常設され、WBC、五輪、プレミア12で世界一になるなど結果を残している。しかし主要な世界大会が開催されない時期にも招集され、親善試合という名の「興行試合」も頻繁に開催されている現実がある。 2023年10月の井端監督就任後にも、同年11月に日本主導で韓国、台湾、豪州の4カ国でのアジアプロ野球チャンピオンシップを開催。今年3月には欧州代表との親善試合も行なった。 「侍ジャパンの親善試合のチケットはNPBの通常試合と変わらない価格設定で良心的なので、対戦カード関係なくある程度スタンドは埋まる。会場では選手の名前が入ったユニホームやタオルなどのグッズが飛ぶように売れ、注目度が高いのでテレビ地上波中継も行なわれる。トータルで収入が見込める優良興行となる」(スポーツマーケティング会社担当者) 一方で侍ジャパンの選手にとっての負担増は間違いない。レベルが下の国との対戦になることもあり、「日本代表の誇り」だけで参加するのが苦しく感じる選手がいてもおかしくない。 「侍ジャパンには勝って欲しい。しかし今回のプレミア12のように他国が戦力を落として参加している中、『NPB主力選手が出場する必要があるのか?』という声も理解できる。侍ジャパンにとって1つの過渡期かもしれない」(球界OB) 日本代表と個人、そして所属チームに関わる難しい問題。野球、バスケット以外にも、サッカーやバレーボール等、多くの競技で同様の議論が行なわれているが明確な答えは見つからない。 まずは、NPB選手たちに過剰な負担がかからないことが何よりも大事。その上で大会によってはアマチュアや学生主体で挑む方向へ舵を取る時期に来ているのかもしれない。
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