「アバルト595」の柔と剛を使い分け!? トライアルのストリート仕様とサーキット仕様を乗り比べました【デモカー試乗】
ハードな足まわりで街乗りではスパルタンなサーキット仕様
対するサーキットスペックのアバルト595デモカーはシャープに仕上げられている。 エンジンはノーマルタービンのままだが、オリジナルECUは200ps以上を軽く発揮。アクセルOFF時にはバブリングするように設定し、レーシーさを格段に高める。組み合わせるマフラーはVIITSエキゾーストだ。 サスペンションはHKSのサーキット志向モデルVIITSサスペンションR。デフにはOS技研のスーパーロックLSDを装着する。ブレーキパッドは制動屋のRM551+を純正ローターに組み合わせてサーキット走行に対応。 ホイールはRAYS VOLK RACING TE37 SAGA SLの17インチ7.5J+36を前後に履き、タイヤはTOYOのSタイヤであるプロクセスR888R 205/40R17をセットする。 街乗りでは乗り心地はハード気味に感じる。フラットな路面では気にならないが、路面が荒れてくるとハードな設定のVIITSサスペンションRとプロクセスR888Rの組み合わせは、正直乗り心地が良いものではない。 もともとホイールベースが短く、リアサスペンションのストローク量も短い。リアサスのマウントもかなり傾いた特殊なレイアウトのアバルト595は乗り心地についてはかなり厳しい。そこにハードなサスペンションと剛性に優れるタイヤの組み合わせは、なかなかスパルタンなものである。
サーキットではまさしく水を得た魚!
だが、サーキットに持ち込むとまさに水を得た魚。ホイールベースが短く、さらにフロントタイヤの荷重が大きく、ブレーキングでフロントが大きく沈みやすいアバルト595だが、強くブレーキングしてもジャックナイフ状態にならない。フラットな姿勢を維持していられる。 ステアリングに対しても自然に、でもシャープに反応しスポーツドライビングを楽しむことができる。LSDの効きも適度なもので、決してバキバキ音がしたりはしないし、コーナリングを妨げるものでもない。このあたりの仕上げ方もさすがである。 エンジンパワーはストリート号と大差ないが必要にして十分。というか、アバルト595未体験の方のためにお伝えしておくと、もともと185psとかなりハイパワーな595は純正タービンが大きめ。簡単に言うとノーマルでドッカンターボ状態。低回転はブーストが掛からず、3000rpmくらいから急速にブーストがかかって刺激的な加速をしていく。 そこにさらにブースト圧が高められているので、200ps仕様とは言ってもちょっとビビるくらいの加速をしていく。しかも、減速時はバブリングでバランバランという排気音が響いてやる気を高めてくれる。 シートはRECAROのフルバケットシートであるPRO RACER RMS 2600Aをセット。さらに太ももと脇腹のパッドを厚いものにすることでカラダをしっかりとホールドする。極めてホールド性が高く、RMSの特徴である肩ではなく脇腹で身体をホールドする感じが高められていて、サーキットでもきわめて乗りやすい。