【毎日書評】身近な人間関係がいつもギクシャクするなら、相手への「ごめんなさい」を変えてみて
『「ごめんなさい」の練習』(林 健太郎 著、PHP研究所)の著者によれば、上司や部下、同僚や先輩、友人やパートナーなどの“身近な人間関係”がギクシャクする背景には、シンプルな共通点があるのだそうです。それは、相手への「ごめんなさい」が不足していること。 相手とトラブルになりそうになったら、ひとまず「相手と自分、どっちが悪いか」は置いておいて、「小さなごめんなさい」を伝えることが最優先。 「でも」「だって」「しょうがなかった」といった言葉が先に口から出て、相手へのケアがおろそかになってしまうと、どんどん関係が悪化してしまうのです。(「はじめに」より) 日常生活において、相手との関係が危うくなってしまうことは少なくありません。そういったとき、すなわち「ごめんなさい」が必要とされる場面で、どう対応するか。その判断によって、以後の関係が決まるというわけです。 著者は、2010年にプロのコーチとして独立して以来、大手企業や外資系企業、ベンチャー企業、家族経営の会社などにおいて、2万人以上のリーダーに対してコーチングやリーダーシップの指導を行ってきたという人物。 今の日本では、自己主張のスキルだけが急速に発達して、その結果、相手と意見が食いちがったり、反論されたりしたら、必要以上に相手を敵視して、全力で叩きのめそうとする──。どんな悲しいことが起こっています。 身近な人間関係で、そうなってしまうのは、あきらかに不幸です。 そんな状況を回避したいなら、ぜひ、この本で「ごめんなさい」の技術、つまり関係修復のスキルを身につけてください。(「はじめに」より) なお、「ごめんなさい」を伝えるときの最重要ポイントは「気づいて→謝る」までの時間をできるだけ短くすることなのだといいます。この点を念頭に置いたうえで、第2章「『ごめんなさい』を軽やかに伝える技術」に目を向けてみましょう。
動きをとめて相手を見る
著者によれば、まずは相手から出ている「不快サイン」に気づくことからはじめるべき。いかにすばやく「あ、相手を不快にさせたかも」とピンとくるかが重要だということです。 なお、不快サインに気づくには、「動きをとめて相手を見る」ことが必要不可欠。表情や状態を目視しないと、相手の感情は意外とわからないものだからです。また、「口の動きも完全にとめる」ことも大切であるようです。 ちなみに、相手が出す不快サインの例は次のとおり。 ●不快サインの一例 ◾️表情が曇る、不機嫌な態度を示す ◾️「えっ……」「あ~」など戸惑った反応がある ◾️「それって、どういう意味!?」など攻撃的な返事をされる ◾️「どうして〇〇したの!?」と尋問調になる ◾️会話がとまる、返事をしなくなる (77ページより) 取り急ぎ、こうした不快サインを察知する習慣を身につける必要があるようです。(76ページより)