アメリカ騒然の保険会社CEO殺害事件と「性的倒錯」の意外な関係
犯罪者に引かれる倒錯
依存症に詳しいドリュー・ピンスキー医師は最近のインタビューで、マンジョーネへの称賛の多くは「ハイブリストフィリア(犯罪性愛)」に近いのではないかと指摘する。 ハイブリストフィリアは性的倒錯の一種で、なぜか凶悪犯に引かれてしまう性向を指す。 症状の出方はさまざまで、極端な場合は、凶暴な男性に性的な恋愛感情を抱いてしまった女性が男の犯罪(殺人を含む)に手を貸したりするケースもある。ほれ込んで、全てを投げ出して彼を支えようとする女性(まれには男性)もいる。 一方、シンプソンやデリンジャーの場合は、庶民の目には腐敗の温床と映る権威や組織に敢然と立ち向かう抵抗者に憧れ、英雄視する心理も働いていたと言えるだろう。 デリンジャーが「社会の敵」として暴れ回った1930年代には、大恐慌で生活苦にあえぐ庶民の財産を銀行が片っ端から差し押さえていた。90年代のアメリカ黒人にとっては、人種差別むき出しのロサンゼルス市警に対する怒りと抵抗のシンボルがO・J・シンプソンだった。 ではなぜ、今の時代にルイジ・マンジョーネが英雄視されるのか。たぶんアメリカの医療制度がおかしいからだ。 マイケル・アーントフィールド(犯罪学者、加ウェスタンオンタリオ大学教授) The Conversation Michael Arntfield, Full Professor of Criminology & English Literature, Western University This article is republished from The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.