「舌がん」ステージ4から50代で転職活動。5年生存率“約16%”でも開き直れたワケ
いま自分の置かれている状況に感謝すること
社会復帰に向けてがんを乗り越え、新たなキャリアの道を切り拓く。 壮絶な経験から学んだ気づきや発見についてM.C. BOOさんに伺うと、「生きるか死ぬか。究極的には2つに1つしかなく、がんの生存率にとらわれなくていい」と言う。 「入院中は『1歩でも前向きになれることをしたい』と思いながら、毎日過ごしていました。いくらお金をかけてがん治療に専念しても亡くなる場合もあれば、奇跡的な生存例もあるわけで、結局は『いま、この瞬間に何を考え、どう行動するのか』ということが大事だと思うんですよ。 たとえ元気にしていても、いつ何が起こるかわからないですし、何かに屈服するために生きているわけではありません。僕たちは、人生を謳歌するために生きていて、その幸せと喜びの尊さを今回の闘病生活であらためて実感しましたね」 また、先行きが見えにくい今の時代に40代~50代から転職活動を行う際に留意すべき点については「キャリアの棚卸しを行い、培ってきたスキルや人脈を大切にすること」だとM.C. BOOさんはアドバイスを送る。 「変な話、明日会社へ向かう途中で事件が起きて大変な事になる可能性もあるわけで、『今置かれている状況は恵まれている』ことを理解しておくのが重要ですね。 あとは、タイミングが大事な要素です。僕もヘラルボニーに入社する縁をいただいたのは退職した日で、そのまま進んでいきました。人生に偶然はないと思っています。その必然を呼び込むタイミング、シンクロニシティについて考えるのもいいのではないでしょうか」 M.C. BOOさんはがんを経験してから、マインドが大きく変化したという。ヒップホップを使って自分を表現してきたが、現在では自分主体に考えるのではなく、世の中や地域を巻き込んで社会貢献していく気持ちが強くなったそうだ。 自分の持っているクリエイティビティやネットワークを駆使し、「ポジティブ・インパクト」をもたらしていく――。M.C. BOOさんのさらなる活躍を期待したい。 <取材・文/古田島大介、撮影/藤井厚年> ―[M.C. BOO]― 【古田島大介】 1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている
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