がんによる死亡の40%は予防できる? 米の研究結果をの専門家が解説
まとめ
幸い、これらの危険因子の多くは、体が受けたマイナスの影響を時間をかけてプラスにすることができます、と話すのは「メモリアル・スローン・ケタリング」の乳腺腫瘍専門医であるニール・アイアンガー医学博士。がんのリスクを下げるためにまずすべきことは、喫煙、アルコール、肥満、食生活の乱れ、運動不足などの危険因子に接する機会を断つ、もしくは最小限に抑えることです、と彼はコメント。「喫煙は予防できるがんの大半の原因になるため、喫煙をやめることでがんのリスク低下に一番大きな影響を及ぼします。喫煙に次ぐがんのリスク因子は、過体重です」と彼は説明する。 うれしいことに、健康的な体重を維持するための行動の多くは、食事、運動、アルコールなどを含むそのほかの危険因子への対策にもなります、とアイアンガー博士。「食物摂取量の少なくとも80%を加工度の低いプラントベース食品から摂取するプラント指向の食生活にすることで、食事の質が上がり、体重が改善し、食物繊維の摂取量が増え、がんから体を守るさまざまな栄養素の摂取量が増えるため、がんのリスク低下に役立つでしょう」と博士はアドバイス。 今回の研究結果は、アメリカにおけるがんの約40%が、生活習慣で変えられるいくつかのリスク因子を改善することで予防できることを示しています、とアイアンガー博士。しかし、逆に言えば、残りの60%のがんは予防できない可能性を表しています、と博士は指摘する。 また、ここに挙げたリスク因子は、現在研究中のたくさんの因子のほんの一部に過ぎないことを理解しておくことが重要です、と補足するアウカーラゾ博士。「健康な体重の維持、断酒またはアルコール摂取量の制限、禁煙、ヘルシーで適切な食生活、身体運動、日光を避けるまたは日焼け止めを塗るなどを実践することで、がん症例数の大幅な減少につながることを理解することも大切です」と博士は指摘する。 最後に、早期段階のがんの発見に役立てられる、年齢に応じたがん検診をいつから始めるべきか、医療提供者に相談することも極めて重要です、とアウカーラゾ博士はアドバイス。早期発見は、より効果的な治療と生存率の向上に不可欠といえる。
translation : Mutsumi Matsunobu cooperation : Yumi Kawamura photo : Getty Images