ひとりぼっちでコロナの時代に突入していたらと考えると恐ろしい――広末涼子と家族との2年間
ところが、世代によって発信への感覚が異なることが、広末が22年ぶりに写真集を出すことを後押ししたという。発信にポジティブだったのは、彼女の子どもたちだ。 「写真集を出していいのか、すごく迷ってしまって、何が正解かわからなくなったときに、家族会議をしました。『ママが写真集を出すっていうのはどうですか?』って。そしたら、予想外にみんなポジティブな意見で、『やればいいじゃん』って、子どもから言われて。みんなに『やらない理由がない』って言われて、『えー、そうなんだ』って、ちょっと私は意外だったんですよね。それって世代もあるのかもしれない。発信していくことに、そこまでネガティブな印象が、今の人たちのほうがないのかも。『発信して、それがマイナスになることはない』っていう感覚が、私の中ではないものだったので、すごく背中を押してもらった部分ではありましたね」
40代の写真集っている?
以前の取材では、「アンチエイジングじゃなくて『ウェルエイジング』派」と語っていた広末。それでも、40歳で写真集を発売するというオファーには、悩みに悩んだという。 「正直なところ、『40代の写真集っている?』って(笑)。私も写真集を見るのが好きだけど、『写真集は若ければ若いほどいいんじゃないか』って、漠然と思っていて。年齢を気にしてないつもりだったけど、年齢とか、女優だっていうこととか、母親だっていうこととか、体裁とかにとらわれていたんだなっていうのを、逆説的に知りました。やってみたら、『何がそんなに自分の中で壁だったんだろう?』って思うくらい、ハードルを飛び越えられた感覚がして、チャレンジして良かったなと思える部分でしたね」
今回の写真集『C'est la Vie』は、本来は2020年内の発売が計画されていた。しかし、コロナ禍で緊急事態宣言が発出された影響や、スケジュールの問題もあり、撮影はずれ込み、しかも2年間に及ぶことになった。なかでも沖縄の撮影予定は3回中止になった末にようやく実施された。 撮影中は、写真集を出すかどうか悩んだ日々が嘘のようだったという。 「被写体として生きてきた人生は自分も長いので、違和感なく撮影に取り組めたし、撮影自体も楽しくて」 写真集の大半を占めているのは、雄大な自然の中に立つ広末の姿だ。青空、草原、海、雪景色、そして滝。どんなシチュエーションでも広末は存在感を発揮する。ときに笑顔をはじけさせ、ときに荘厳な雰囲気の一部となる。