34年ぶりの円安、米株・米債券ファンドの運用成績は3年で50%値上がりした米ドルのかさ上げ効果に注意
4月16日の外国為替市場で、ドル円は一時1ドル=154.79円という1990年6月以来約34年ぶりの円安・ドル高水準を記録した。米FRBのパウエル議長が、「(インフレ退治について)確信を得るまでにはさらに時間がかかる可能性が高い」と発言し、より長期間の高金利維持を示唆したと受け取られたことで、ドル高に弾みがついたためだ。日本の金融当局者の発言から為替介入の水準が「155円」をターゲットにしているとみなされていることも円安基調の背景になっているようだ。この為替の変動は、ドル建て資産に投資する投信のパフォーマンスをかさ上げしている。それぞれの資産のパフォーマンスに対する評価を狂わせる要因ともなりかねず、投資計画を考える際などには注意が必要だ。
2021年1月時点で1ドル=102円台だった。現在の154円台まで3年余りで50%もドル高・円安が進んだことになる。この分が、ドル建て資産のパフォーマンスをかさ上げしている。たとえば、「iシェアーズ S&P500 米国株ETF」(為替ヘッジなし)の過去3年間の年率トータルリターンは23.50%だが、同じ運用をして為替ヘッジをした「iシェアーズ S&P500 米国株ETF(為替ヘッジあり)」は7.41%でしかない。「S&P500」の長期リターンは平均すると年率7.5%というデータがあることから、為替ヘッジありのパフォーマンスが実態に合っているといえるが、為替ヘッジのあり・なしによる差は非常に大きい。
また、投資対象が債券になると「iシェアーズ・コア 米国債7-10年ETF」(為替ヘッジなし)は、3年(年率)トータルリターンが6.69%だが、「iシェアーズ・コア 米国債7-10年ETF(為替ヘッジあり)」はマイナス7.44%になっている。過去3年間で米国の政策金利はゼロ%から5%超の水準に上がったため、債券価格は下落し、債券ファンドのパフォーマンスは悪くて当たり前である。にもかかわらず、為替市場の異常な円安・ドル高のために、日本の投資家は米国債に投資していても儲かったことになっている。