映像波紋の「フルコンタクト空手」、子どものリスク「親は理解していますか?」 重傷でも賠償認められないことも…弁護士指摘
――親への賠償請求は認められるでしょうか この点について、民法714条1項は「前二条の規定により責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う」と規定しています。 この規定により、ケガをさせた子どもが責任無能力者であるために損害賠償責任を負わないという場合でも、その監督義務者である親が損害賠償責任を負う場合があります。 ただし、この民法714条1項における親の責任は、責任無能力者である子どもの行為が不法行為に該当することを前提としていますので、子どもの行為に違法性がない場合には、子どもの親も損害賠償責任を負わないということになります。
⚫︎加害側の親、被害側の親、いずれも問われる責任
ただ、ここで注意しなければいけないのは、被害者の親の責任です。 仮にケガをさせた子どもやその親に対する損害賠償請求が認められたとしても、被害者の親にも責任があると考えられます。 つまり、子どもである被害者がフルコンタクトの試合に出場することによってケガをするかもしれないということは予め十分に予想することができます。 その意味では、自分の子を危険な目に遭わせるような行動をとったという点で、被害者の親にも責任があるといえます。 したがって、実際に対戦相手の子どもやその親に対する損害賠償請求が認められる場合であっても、被害者の親にも落ち度があると考えられ、いわゆる「被害者側の過失」として過失相殺がなされる可能性が高いといえます。 つまり、空手に限ったことではありませんが、フルコンタクトの格闘技に出場させた子どもがどれだけ深刻なケガをした場合でも、被害者側の賠償請求は認められない可能性があるということです。 (※なお、今回の大会参加申込書を読むと、スポーツ保険は選手各自での加入が求められ、試合中の負傷・事故の責任を大会関係者が一切負わないとする記載がある)