ウミガメふ化率を調査 ライオン社員が協力、和歌山県みなべ町千里の浜
全国有数のアカウミガメの産卵地、和歌山県みなべ町山内の千里の浜で24日、NPO日本ウミガメ協議会(松沢慶将会長)が大手生活用品メーカー「ライオン」大阪工場(堺市)の社員の協力で、今季初めてのふ化率調査をした。今後も何回かに分けて調査し、10月下旬に全体のふ化率をまとめる。 【ウミガメ産卵、過去最少 専門家「周辺環境見直す必要」、和歌山県みなべ町の千里の浜の記事はこちら】 協議会は毎年、5月下旬から8月中旬にかけての産卵シーズンにウミガメの保護調査や研究を続けている。産卵後、1カ月半から3カ月ほどでふ化するため、8月以降に何回かに分けてふ化率の調査をしている。 今季の産卵は、6月10日に初めて確認され、8月10日までに20回あった。産卵回数は、調査を始めた1981年度以降、過去最少となった。 24日には協議会の松沢会長とボランティアスタッフ、町教育委員会の職員が参加。ライオンからは社員9人が加わった。 同社は社会貢献活動として、2010年から千里の浜でのウミガメボランティアを続けており、今年で15年目。今季は、7月下旬に卵を獣害から守るため産卵場所にステンレス製の籠をかぶせる作業や浜の清掃をしており、この日で2回目の活動となった。 6月中に産卵のあった5カ所で砂を掘り、卵が割れて正常にふ化しているか、割れずにへこんだ状態でふ化しなかったか、ふ化しなかったものは、卵の中でどの段階まで成長していたかなどを確認した。6月10日の産卵場所では、ピンポン玉のような大きさの卵の殻122個が確認できたが、ふ化したものはなかった。 ライオンの社員らは、砂浜に打ち上がったごみの回収もした。 ライオンのボランティア活動の事務局を務める大道秀夫さん(56)は「炎天下の中、熱中症対策を取りながら作業をした。ウミガメが産卵しやすい環境をつくり、次の世代にもこの環境を残せるように協力を続けていきたい。若い社員にもこうした活動を引き継いでいきたい」と話した。社員らは9月にもふ化率調査と浜の清掃に協力する予定。
紀伊民報