還暦の通天閣 今秋にも高さ108メートルに 天気ネオンLED化も
還暦の通天閣 今秋にも高さ108メートルに 天気ネオンLED化も THEPAGE大阪
大阪のシンボル、そして国の登録有形文化財として多くの大阪府民らに愛されている同市浪速区の「通天閣」。現在のものは2代目となるが、今年で完成から60年になるという。昨年は世界初の営業したままの免震工事、てっぺんに特別展望台を新設するなど「還暦」を前に様々な取り組みをしたが、西上雅章社長は「今年はLED改修に伴い、天気予報ネオンをLED化したい」「秋には、今より長い避雷針を設置して地上108メートルにします」と意気込みをみせている。正月も展望台への入場が60分待ちなど人気をみせる通天閣の横顔に迫ってみた。
地元有志によって再建して今年で60周年
通天閣は、1903年に初代が完成。しかし1943年、すぐ下にあった映画館の火災で脚部が焼け強度不足となり、同年戦時中の軍需資材として鉄材献納のために解体された。 後に地元・新世界の商店主ら有志らが「通天閣を再建しよう」と立ち上がり、1956年に現在の2代目が完成した。眺望を売りに、開業時は1か月で20万人の来場者を記録し、翌年には100万人を超えるなどにぎわいを見せた。 しかし、10年たつと業績は悪化。1974年ごろは、光化学スモッグなどの影響で自慢の眺望がかすみ、重ねてオイルショックの影響でネオン消灯を余儀なくされ、入場者が20万人を切るなど累積赤字もあり、窮地に陥ったこともあった。 だが、その後は地元とともに盛り上げ改革を断行し「ふたりっ子」などの人気ドラマの影響で息を吹き返し、再び人気スポットに。現在は年間入場者数130万人を記録するなど、大阪のシンボルとしても親しまれている。
「天望パラダイス」設置に1億2千万円
そんな通天閣だが、昨年は世界初とされる営業をしたまま耐震を免震に変えるという大工事や、てっぺんにある天気予報ネオン直下、直径約8.5メートルの円形を強化ガラスなどで囲んだ、通常の展望台より7メートル高い「天望パラダイス」という屋外型の展望スペースを新設し話題を呼んでいる。 「昨年のクリスマスにオープンしました。総工費1億2千万円でした。これまでガラス張りの展望スペースやと『写真が撮りにくい』という意見が多かったので、これを思いついたんです」と語るのは、通天閣観光の高井隆光副社長。手すりから上は安全のためワイヤーが張られているが視界にはほぼ影響がなく、開放的に風も吹き抜けるなど、高い場所にいることを体感しながら眺めを楽しめる。ここへは入場料(大人700円)に500円追加すれば入ることができるという。 また、カップルなど若い客層にも狙いを定める。「通天閣周辺は夜とか怖いとかいうイメージをお持ちの方も多いんで、いろいろ仕掛けを作ってみた」という高井副社長。昨年7月には脚部に明るい色合いや照明を使った、初代の天井画を復活させ、新世界の明るいイメージ作りに努めている。 そして、今回この天望パラダイスには、幻想的な立体感で表した「天使のビリケンさん」や80インチの大型テレビを設置した。 「ここでカップルに愛の告白場所に使ってもらおうと、朝と夜に30分3万円でこのスペースを貸し出します。テレビには愛のメッセージや映像を流せる思い出作りも演出できると思いまして」と高井さん。「このテレビはここまで運ぶだけで20万円かかりました」と苦笑していたが、それだけこのスペースにかける思いや、若年層を取り込みたいという意気込みも感じられる。 また、展望台ではよく有料の双眼鏡などが備えられているが、このスペースではあえて双眼鏡を無料レンタルにするなどの特色も。近くに、あべのハルカスなどがあるとはいえ、間近に高層ビルなどはなく場所的にも大阪市内を一望できるため、できる範囲のアイデアで、新たな展望の魅力を引き出している。