【解説】中国海警局が外国人拘束の新規定と機関砲で尖閣に圧力 乗組員拘束も辞さない悪質行為「ICAD」とは?
対台湾演習に中国海警局も参加「日本も無関係ではない」
この中国をめぐって緊迫している地域の1つが、台湾周辺だ。中国軍は5月23日、台湾周辺の海空域で「聯合利剣―2024A」と称する軍事演習を開始した。その3日前に、台湾で新たに発足した、中国と距離を置く頼清徳政権へのけん制とみられ、演習は2日間にわたって実施された。台湾を取り囲んだ形での軍事演習は、2022年のペロシ米下院議長の台湾訪問、そして翌2023年の台湾の蔡英文総統のマッカーシー米下院議長との会談後に続く、3回目と位置付けられる。 「2022年は1週間、2023年は3日間実施されたのに対し、5月の演習は2日間と実施期間が短かった。そして、前回と同様に実弾は使用されず、比較的小規模だったと言える」 演習についてこう冷静に分析するのは防衛省の研究機関「防衛研究所」で、理論研究部長を務める飯田将史氏。中国の外交・安全保障政策について、20年以上研究を続けてきた専門家だ。その飯田だが、この5月の演習について別の視点から、ある特徴を挙げて警鐘を鳴らす。 飯田将史氏: 演習には中国人民解放軍のほか、海警局も参加していた。日本も無関係ではない。 海警局は中国の海上法執行機関であり、尖閣諸島周辺での航行を常態化させていることで知られる。2018年7月には組織改編で武装警察部隊に編入され、現在は中央軍事委員会の指揮下に置かれている。 飯田氏は「海警局が軍事力の一部として、人民解放軍と一体的に運用されている実態を明らかにした」と分析する。 さらに、この中国海警局は6月15日、新たな規定を施行したのである。中国が主張する「領海」に違法に侵入した外国人について、最長で60日間拘束を可能とするものだ。 沖縄県の尖閣諸島や南シナ海で、一方的に領有権を主張する中国がこの新たな規定を恣意的な拘束の裏付けにする恐れがあり、日本政府関係者はFNNの取材に対し、「ステージが変わった。今後事態がエスカレートしないか中国の動きを注視している」と警戒感を示す。