変化する「不妊治療」の実態。8割が保険適用範囲内で治療中。経済的負担は?
経済的負担以外にもある不妊治療の課題
『浅田レディースクリニック』によれば、不妊治療に関しては経済的負担以外にもさまざまな課題があるといいます。 「不妊の原因不明が意外に多い」 不妊に悩む人のうち、およそ半数が原因不明。また、不妊の原因は男女ほぼ半々(公益社団法人 日本産科婦人科学会「不妊症のケア」より)。こうした実態からも、不妊治療ではひとりひとりに合った検査と治療が必要です。 「治療の拘束時間が長い」 厚生労働省が2021年に行なった調査によると、不妊治療中の人の約4割が治療のために仕事を休んだ経験があり、仕事の日程調整にも大きな負担が発生していることがわかっています。費用負担が軽減したとしても、職場環境などが理由で不妊治療に踏みきれない場合もあるようです。 保険適用の範囲拡大によって不妊治療への門戸が開かれたことは有意義で、経済的負担が理由で治療をあきらめていた人は受診への一歩が踏み出しやすくなったはず。また、保険適用=一般的な治療としての認知が広まることで、周囲の理解も得やすくなっていくでしょう。まだ今年から始まったばかりで、課題も多く残っていますが、妊娠を望む人にとってよりよい環境となるように少しずつ改善されることを期待したいですね。 浅田レディースクリニック 理事長 浅田義正 先生 日本でも有数の体外受精成功率を誇り、愛知・東京でクリニックを展開する「医療法人浅田レディースクリニック」の理事長を務める。名古屋大学医学部卒業。同大医学部産婦人科助手などを経て米国で顕微授精の研究に携わり、1995年、名古屋大学医学部附属病院分院にて精巣精子を用いたICSI(卵細胞質内精子注入法)による日本初の妊娠例を報告する。2004年「浅田レディース勝川クリニック」、2010年「浅田レディ ース名古屋駅前クリニック」、2018年5月に「浅田レディース品川クリニック」を開院。日本生殖医学会認定生殖医療専門医・指導医。 構成・文/政年美代子 Photo by DrAfter123 / DigitalVision Vectors 資料提供/医療法人浅田レディースクリニック