【日本未上陸】カリブ海の伝統を讃える「ザ・クロス」 世界で最も希少な綿花で、脱植民地主義の物語を紡ぐ
ー「アンチフィット」と「アンチテーラリング」について、具体的にどのようなデザイン手法を用いていますか? 私たちの「アンチフィット」「アンチテーラリング」は、「フィット感が高いほど価値が上がる」というイギリスの伝統的な信念に基づいています。カリブ海地域の美意識では、必ずしもフォーマルな仕立てにこだわらず、ゆったりとした余裕のある空間を重視します。 私たちのコレクションは、体にフィットする服からだんだんとゆったりしていく5つのシルエットで展開しています。 スタンダードフィット:バランスの取れた適度なゆとり レギュラーフィット:快適さを重視した余裕のあるシルエット リラックスフィット:動きやすさを確保したゆったりデザイン ルーズフィット:オーバーサイズのファッション性が高いシルエット コクーニングフィット:ボリューム感のあるアヴァンギャルドなシルエット 特に大きな影響を受けているのが、カリブのカーニバルに登場する「モコ・ジャンビー」です。これは高い足で踊る精霊のダンサーで、その自由で大胆な姿は私たちのデザインの原点となっています。 このように体から離れていくシルエットには、個人主義的なイギリス文化への反発と、カリブの自由な精神が込められています。私たちは服を通じて、カリブの文化的価値観を表現しているのです。
ーキューバ革命やハイチ革命など、カリブ海地域の歴史的出来事がデザインにどのように影響していますか? カリブの革命的精神は、ブランドの理念の中心にあります。ハイチ革命は、人類史上初めて成功した奴隷反乱でした。私たちはその歴史に敬意を表し、さりげなくデザインに反映しています。 たとえば、革命指導者たちが常に着用していた軍隊風のエポーレットや、ハイチ・ヴードゥーのヴェヴェ模様をアップリケに取り入れるなど、さまざまな歴史的参照を用いています。これにより衣服を通じてより公正で平等な世界を追求しています。