【日本未上陸】カリブ海の伝統を讃える「ザ・クロス」 世界で最も希少な綿花で、脱植民地主義の物語を紡ぐ
ー人類学の視点は、ブランドの運営にどのように生かされていますか? 2017年以来、このビジョンは私たちの企業戦略の核となっています。当時、深刻な貧困状態にあった黒人カリブの伝統ブランドに、若い白人イギリス人である私が関わることには、大きな責任と困難が伴いました。 この過程で、ロバートと私は「コミュニティとの対話」の重要性を学び、困難に直面したときは第三者の視点を大切にするようになりました。はじめは覚悟していたつもりでしたが、実際の課題の大きさは私たちの想像をはるかに超えていました。 しかし今では、マーサズ・ヴィンヤードのセブンシスターズを筆頭に、カリブ海をアフリカの第55州と位置づけるAfreximbank(アフリカ輸出入銀行)など、素晴らしいパートナーたちに支えられています。 私たちの使命は、魅力的な服作りを通じた、民族学的な知見を生かした未来の創造です。抑圧的な歴史を理解しながら、創造性と文化の力でより公正な未来を築いていくことです。このビジョンが、私たちや多くの人々に実現に向けた勇気を与えてくれているのです。
ザ・クロスの重要な要素
ーブランドの象徴的なアップリケ技法について教えてください。 アップリケの技術は、デザイナーのロバート・ヤングが布を通じて物語を語るための方法として生まれました。初期の協力者であったカミーユ・セルヴォンはシルクスクリーン印刷の技術を持っていましたが、彼女が去った後、ロバートは新たな手法で物語を伝える必要がありました。
そこで彼は、複数の色を1つのカットで表現できる、布の断片を縫い合わせてイメージを作り出す方法を開発しました。この技術は「ザ・クロス」の代名詞となり、初期の段階ではアップリケが新聞紙に縫い付けられ、当時の日付がサテンステッチの下に隠れていました。 現在、アップリケ技術はローエッジの方法や直線的なステッチを用いて進化し、より柔らかく着やすい布地が生まれています。これらの作品は触感に富んでおり、物語性が込められ、すべてが一点ものとして、カリブ海の豊かさを伝えています。