奨学金なんて借りなきゃよかった…手取り28万円「後悔しています。」30代サラリーマン家族の悲鳴
奨学金を借りてまで大学に進学する必要はあるのか?
そのため、「奨学金を申し込んでほしい」と親から頼まれることもあるでしょう。独立行政法人日本学生支援機構の『令和4年度学生生活調査』によると、大学学部(昼間部)の55.0%が奨学金を受給。39.3%が「(奨学金は)必要ない」と回答しています*。半数以上の学生が奨学金を頼りに進学しているという状況です。 *申請したが不採用:2.4%、希望するが申請しなかった:3.3% 奨学金には、返済不要の「給付型」、無利息の「貸与型第一種」、利息のつく「貸与型第二種」の3種類があります。日本学生支援機構の奨学金はよく知られていますが、大学や専門学校、民間団体、地方自治体などが独自に実施している奨学金も多く存在します。 奨学金の借入総額の平均は約300万円、月々の返済額は約1万7,000円、返済期間は15年から20年といわれています。ストレートで大学を卒業しても、40歳前後でやっと返済が終わる計算です。 総務省の『家計調査 2023年平均』によると、世帯主34歳以下世帯(世帯人数3.27人)における世帯主(男)の月収は全国平均36万4,603円、手取りは約28万円。地域によってバラつきの大きな住居費を除いた消費支出は23.1万円と、手取りとの差は5万円です。 都内在住の30代サラリーマン世帯だとしましょう。残り5万円で家族3人が住む賃貸物件を探すことは、到底無理であることは明らか。その分、節約を頑張らないと平均的な生活はできないということになります。このような厳しい家計のなか、さらに月1.7万円の奨学金返済。親の利用した奨学金によって、家族はさらなる節約を強いられる……何ともやり切れません。奨学金返済の負担から、結婚や出産を躊躇する人も多いといわれていますが、不思議なことではないのです。 「奨学金 返済」と検索すると、「きつい」や「後悔」といったキーワードが出てくるように、長期にわたる返済は想像以上に厳しいものです。カネとホンネ調査研究所が20~39歳で会社員の男女に対して行った調査によると、奨学金を利用した22.5%が「返済のため生活が厳しい」、20.9%が「これから先の返済が不安」、20.5%が「自分の子どもには奨学金を借りさせたくない」と回答しています。 「学歴は関係ない」といわれつつも、実際には学歴が重視される日本社会。大学全入時代といわれるように、ますます大学進学が当たり前になっています。そのなかで、奨学金を利用して大学に進学させることが本当に幸せなのか、子どもに後悔させないためにも、親としてしっかり考える必要があります。 [参考資料] 文部科学省『令和5年学校基本調査(確定値)』 厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』 厚生労働省『令和5年度私立大学等の令和元年度入学者に係る学生納付金等調査』 独立行政法人日本学生支援機構『令和4年度学生生活調査』 総務省『家計調査 2023年平均』 カネとホンネ調査研究所『【調査レポート】奨学金は平均282万円。500万円以上のケースも!』