NHK、34年ぶり赤字の原因はどこにある? ネトフリと比べて分かる“いびつ”な構造
Netflixよりも売り上げは大きいのに、利益はマイナス
Netflixの業績を2023年の決算資料から確認しよう。同社のAPAC地域における売り上げは37.6億ドル(約5767億円)。該当地域における営業利益は開示されていないが、同社全体の営業利益率が20%前後であることから、おおよそ7.5億ドル(約1144億円)前後とみられる。 Netflixは同地域に約1500人の従業員を有しており、APAC地域における人件費は1億3200万ドル(約198億円)と見積もれる。 同社の人件費は1人当たり1000万円を超え、高額にも思われるが、売上高に占める割合は3.4%と小さい。一方、売り上げの4分の1が人件費などに充てられているNHKは1万268人の職員を抱えており、Netflixの約7倍多い。 もしNetflixの売上高における人件費率がNHKと同じ25%になったら、APAC地域における利益は261億円の赤字になる。 もっとも、NetflixとNHKとではビジネスモデルが違うため、単純比較はできない。しかし、仮にNHKの赤字が今後も進行していくならば、そもそもNHKのビジネスモデル自体が破綻していると言えないだろうか。
人口減・契約拒否で苦境
NHKの受信料収入は、テレビを所有する世帯から強制的に徴収する制度に依存しているが、人口減少や契約を拒否する人の増加により、安定的な収入の維持が厳しくなっている。 また、NHKの収益構造はこの受信料収入に大きく依存している。多様な収益源を確保できていないことも課題だ。 そして収益の多くは先述した人件費のほか、国内の放送網維持やビルなどの設備投資(2023年度は国内放送費4620億円、設備投資740億円)に充てられ、グローバルでの収益源となりうる国際放送費には約200億円しか投じられていない。 デジタルコンテンツやインターネットサービスは差別化が難しくなってきている。国際市場での成長や多角的な収益確保に向けて十分な投資を行えているのか疑問だ。 ではNHKの活路はどこにあるのか、英国の公共放送、BBCのビジネスモデルと比較して考えてみたい。