「ANAアプリ」でサービスの可能性拡大、「iPad」導入で客室乗務員の業務を最適化…ANAが力を注ぐ“航空×デジタル”の取り組み
◆「iPad」導入でサービスが向上
2019年に創設された加藤さん率いるデジタル変革室は、お客さまへのサービスをより便利なものにしていくと同時に、社内のより良い体制・仕組みづくりの構築に向けたITの開発やデータ分析、人材育成、セキュリティー部門などの業務を約120人のスタッフでおこなっています。 スタッフは、デジタルやデータサイエンスを専攻した人が多いそうですが、社内公募で整備や客室部門などの現場から異動してきた方もいるそうで、「デジタル・データ専門の部署ではなく、デジタルで“自分たちの業務を変えてみたい”“お客さまへのサービスを変えたい”という気持ちの強い人たちが集まっており、いろいろな方がいるからこそ面白いと思っています。活気があってすごく楽しいです」と言います。 例えば、現在ANAの旅客係員・客室乗務員はiPadを肩から下げてサービスをおこなっているそうです。以前は、お客さまに何か困ったことがあった場合、基本的に空港のサービスカウンターに行かないと解決できませんでしたが、iPadが導入されたことでお客さまの情報やサービス情報を供用できるようになり、係員がその場で解決できるような仕組みが構築されています。 また、飛行機内で客室乗務員同士で伝達する際、以前は“紙”を使用していたため連携を取るのに時間がかかることが多々ありましたが、現在はインターネットを経由せずにiPad同士で連携できる仕組みができたことで、業務が大幅に改善されたそう。「例えば、機内食のとき、今まではお客さまに洋食と和食のどちらがいいかをお聞きして、それを紙でまとめていましたが、iPadに入力することで乗務員全員が情報を共有でき時間の短縮化につながりました。お客さまときちんと向き合ってサービスができる環境に近づいています」と胸を張ります。
◆“航空×デジタル”の未来
ANAグループでは2023年2月、2025年度までの中期経営戦略を策定。そこには、DXの取り組みにより注力することが明記されているそうで、「いまや企業の成長とDXは切っても切り離せないものだと思っています。事業会社であるANAだけではなく、グループ全体でデジタルやデータを活用し、お客さまにワクワクを届ける、新しい価値を創造することを目指して動いています」と将来を見据えます。 最後に笹川は、進化が著しい“航空×デジタル”の関係性について、「加藤さんがANAで働き始めた1990年代に創造していた未来より進んでいると思いますか? それとも、もっと進めたかったですか?」と質問を投げかけると、加藤さんは「両方ですかね」と回答。 続けて、「昔は技術の進歩がゆっくりだったので“何かやりたい”と思っても、その仕組みがまだできていないことがありました。しかし今は、やりたいと思うことが、翌日に突然できる世界に変わってきたので、そこに対するワクワクも含めて、これからがすごく楽しみだなと思っていますし、より便利な世界が来るといいなと思っています」と語りました。 (TOKYO FM「DIGITAL VORN Future Pix」2024年8月24日(土)放送より)