「眠りにまつわる迷信」の中で信じられるものは?
昔から「夜、口笛を吹くと蛇が来る」「黒猫が前を横切ると良くない事が起きる」「霊柩車が通ったら親指を隠せ」「枕を北向きにして寝ない」など結構たくさんのことを見聞きしながら育ってきた。日本にはこのような、いろいろな迷信や言い伝えがある。 ネムリノチカラ代表・快眠コンシェルジュのヨシダヨウコさんが、今回話してくれたのは、眠りにまつわる迷信の中で信じられるものについてだ。 「(日本にある迷信や言い伝えは)たぶん地域ごとに少しアイテムやニュアンスが違っているかもしれませんが、往々にして、何か根拠というよりは、日々の生活の中で子どもたちにルールを守ってほしい事柄を、怖い場面などにひも付けて禁じるようなものが多いような気がします。 さて、その迷信の中でも『靴下を履いて寝てはいけない』というのを聞いたことがありませんか?」 靴下を履いて寝ると「縁起が悪いことが起きる」「親の死に目に会えない」といったマイナスの事が起きると言われている。 「もともとこの迷信の由来としては、死者を黄泉(よみ)の国に旅立たせる時に足袋を履かせたことが元になっているようです。そのため同じように靴下を履いて眠ることが葬儀を連想させるので『ダメよ』ということになったのでしょう。 北枕もしかり、この足袋や、箸と箸で物を渡さないなど、亡くなった人を送ることや夜と連動することが多いのも、何か怖いものを連想させるためなのでしょうか」
本当に靴下を履いて寝るのはNGなの?
「先日、久しぶりに着物を着る機会があって、もちろん足袋も履いたのですが、靴下に比べて足袋は不慣れな分、カラダが硬くなっているせいかやはり履くのも脱ぐのも大変でした。(韓国の時代劇を見ると、王族の人たちも足袋に留め金のない、ソックスぽい足袋を履いていますよね。あの形なら楽かも…) 足袋(靴下)をはいて寝ると何か縁起が悪いことがおきるというよりは、睡眠の質自体に問題が生じるかもしれません」 良い眠りのためには、眠る時は素足が基本だとヨシダさん。足袋も靴下もタイツも履かないのがベスト。それは体温を下げるため。 「人間は眠たくなると徐々にカラダの深部体温が下がり、寝付きやすくなるような仕組みになっています。特に足の裏から熱を放散させることで、体温を下げようとします。 なので、その熱の出口を塞いでしまうと、スムーズな眠りを遠ざけることになってしまうのです。 足が冷え過ぎて眠れない! という方もいるかもしれませんが、その場合は眠る前にできるだけお風呂や足湯などで温めて寝ていただくか、湯たんぽなどを先に入れて寝床を温めておくのがいいかもしれません。 言い伝えには何かしらの理由があるはず。信じるも信じないのもあなた次第ですが、先人の知恵もありますし、その本当の内容を知りつつ、生活を見直していきたいものですね」 【話してくれたのは】 ヨシダヨウコさん ネムリノチカラ代表。快眠コンシェルジュ。日本睡眠学会正会員。寝具店の娘として生まれ、心地よい睡眠を幼児期より体験するが、社会人になりたての頃、働きすぎで体調を崩す。また、実母の介護生活からも睡眠の重要性を再認識する。 漢方、発酵食、アロマ、呼吸、瞑想、ストレッチなどを取り入れ、日々「質の良い睡眠」を探求しながら、各方面へ発信中。代表を務めるネムリノチカラでは、企業の健康経営セミナーや個人の睡眠相談に応じるなど、睡眠全般についてのサポートを行っている。著書に『眠りのチカラ タイプ別睡眠改善&リッチ睡眠TIPS 101』(みらいパブリッシング)がある