<ダンダダン>原作の“密度”をアニメで再現 ギャップとテンポで魅せる 山代風我監督に聞く
さまざまなシーンでギャップを出そうとしているといい、キャラクターの会話のテンポも「緩急を大事にしている」と説明する。
「声優さんの芝居も、メリハリをつけて情緒不安定のような感じが欲しいです、というオーダーをしています。コメディーかと思えば、いきなりシリアスになって、またコメディーになって、声が裏返ってしまってもいい。基本的にはどのキャラクターも早口で、通常のアニメより1.25倍くらいの速度感で掛け合いをしていただいています。会話が終われば、すぐにカットを切り替えて次に行く。コミカルな掛け合いは早いが、内面に迫るような会話はゆっくり読んでもらって落差が生まれるようにしています。会話でも落差を作っていくことが目的ですが、コメディーで笑っていると突然ドキッと刺されるような感覚にもできるといいなというのが狙いです。結果そのシーンが立つので効果的だと思います」
テンポでもビジュアルの面でもギャップを見せる。山代監督が目指しているのは、原作の“空気感”や“匂い”を映像で表現することだという。
「映像は、表現媒体の特徴としてマンガよりも情報量が増えてしまいます。物理的な動き、音、色、時間を自由にいじれてしまうので、情報の交通整理やバランスが大切だと思います。一つボタンをかけ違うと原作の持つ『空気感』や『匂い』が崩れてしまい全く異なった印象になってしまうこともあると思います。ただ、それらをうまいこと操ることができればマンガそのままの印象で、さらに生き生きと作品を彩ることができると思いますし、そこを目指して取り組んでいます。もちろん映像は大多数のスタッフの協力と努力のもとに成り立っています。うまいこと原作の空気感や印象を映像に落とし込めていると感じていただけるのであれば、それは作品の方向性を理解し、自分のセクションで求められている以上の力を発揮してくださったスタッフのみなさまのおかげであり、それはしっかりと作品からも滲み出ているので、そういった各セクションのスタッフの仕事にも注目していただけると、とても嬉しいです」
原作の魅力を最大限に表現するべく、演出がちりばめられたアニメ「ダンダダン」。原作の名シーンがアニメでどう表現されるのか、見逃せない。