<ダンダダン>原作の“密度”をアニメで再現 ギャップとテンポで魅せる 山代風我監督に聞く
「原作が、小ネタを散りばめるスタイルなので、映像もそのようなスタイルの方がいいと思いました。例えば、アクロバティックさらさらは、左手に自傷痕があります。本編ではドラマの中でその部分に怪我をさせてそれがいつまでも心残りのように残っている。それを衣装で隠していますが、戦闘の影響で見えるようになります。霧を発するフラットウッズモンスターは、テーマカラーを黒に設定し、発した霧の影響で画面も黒く染まります。また、浮くという特徴があるので、体内がガスで充満している設定にして天井に張り付いた状態で登場させたり、重量級に見せかけてガスの体であったり、そういう拾い方をしようと。映像化によって原作に時間が与えられて、良くも悪くも行間を確定してしまい、リアリティーラインが上がって立体的になってしまいますから、行間を作品にあった形で正確に埋めていかないと、圧縮された濃度が薄く引き伸ばされる感じがしてしまいます。そうならないように、原作を読んだ読後感、印象を映像でも再現できるといいなと。映像ならではの遊び、特性を活用して原作の世界観を正しく補完していく。妖怪や宇宙人それぞれの特性や、関連性のあるものを必然性のある形や、ギミックとして混ぜて、龍先生が足しそうな『ダンダダン』の本編に混ざってもおかしくない『匂い』のものを小ネタや描写として足していき、世界観の立体化に貢献できるといいなといった感じです」
さらに、原作から円谷プロなどの特撮作品の影響も感じた山代監督は、その要素もアニメに加えていったという。
「龍先生は、成田亨先生を敬愛されていると過去のインタビューで拝見しましたので、『ウルトラQ』から『ウルトラマン』『ウルトラセブン』『怪奇大作戦』あたりの初期の円谷作品の映像のニュアンス、匂いが感じられるといいなと思いました。そうした過去の表現方法を新しい今の映像のスタイルの中に差し込んでいくことで、今の若い人にも新鮮に見えるのかもしれないなと。また、原作の特徴であるごった煮感、ごちゃごちゃ混ざっている印象を映像方面からも感じさせることができるなと思いそうしました」