中国、金融政策の枠組み抜本改革か-埋もれていた習氏発言がきっかけ
(ブルームバーグ): 中国の金融政策においてここ数年で最大の転換となり得る計画が市場で取り沙汰され始めたのは3カ月前だ。金融セクターに関する172ページに及ぶ書籍の中に埋もれていた習近平・共産党総書記(国家主席)が発した言葉がきっかけだった。
中国人民銀行(中央銀行)の潘功勝総裁は19日、流動性を調整する方法として金融当局が流通市場での国債売買を検討していることを明確に認めた。人民銀は財政省と共に実施を検討しており、徐々に進めていくことになるだろう総裁は講演で語った。
中国人民銀、国債売買検討と潘総裁-QEに相当との見方否定
習総書記は昨年10月下旬に開催された中央金融工作会議で、「金融政策のツールボックスを充実させる」「中銀の公開市場操作での国債売買を徐々に増やす」などと述べたと、今年3月に出版された本の中で開示された。
これに加え、潘総裁は金利制度に他の変更も加えるとほのめかした。人民銀は短期金融市場を誘導する政策金利を一本化した枠組みに移行することを検討する可能性がある。より明確な政策目標を示すため、市場金利の変動幅を狭めることも考えている。
確かにこれらの動きはすべて、人民銀が金利と資金を管理するために使用するテクニカルツールの改良を目的としている。
ただ、それがそのまま、家計や企業が借入金を増やしたがらない時期に与信で経済を支えられるのか、あるいは人民元の値下がりを招くことなく借り入れコストを緩和するにはどうすればいいのかなど、中国の政策当局が今直面している大きな疑問の答えになるとは限らない。
詳細の多くは、変更スケジュールとともに曖昧なままだ。
一部の人民銀ウオッチャーは、人民銀が金利決定において市場の役割を徐々に認めるという数十年にわたるシフトの一環であると見なしている。
「業界標準」
潘総裁は19日、経済の転換期で不動産開発会社や地方政府による借り入れが減少傾向にあるため、融資の伸びにはあまり注意を払わなくてもよい時期に当たるとの考えも示した。