「せのぶら」妹尾和夫さん そば店のおかみさんと公演への思い
大阪のABC朝日放送「せのぶら」などでおなじみの俳優、妹尾和夫さん(62)。妹尾さんが主宰する劇団「パロディフライ」創立20周年記念公演「おかみさん~文の清七そば~」が14、15の両日、大阪市北区の梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで上演される。 公演は、自身が約15年通い続け、ラジオ番組で毎日のように話しては多くのリスナーが訪れるなどした実在のそば店、おかみさん(2年前に他界)を描いたものだ。脚本は若手のころ現場で苦楽を共にした同局チーフプロデューサーの郷田美雄さんに依頼。「ベリーベリーハートウォーミングに仕上がった」という作品への思いを聞いた。 「約15年『月・火・水・木・金・土・土』のペースで通ったんです。あっ、土曜は昼夜という意味ね」と笑顔の妹尾さんが思い出すのは、同市福島区にあったそば店「清八そば」。自身のラジオ番組で紹介していたため店には連日リスナーが訪れ、店内は交流の場と化していた。 だが3年前、おかみさんが病に侵され、後に閉店。そのことはラジオ番組でも伝えられた。おかみさんは闘病生活の末、他界。「あの人柄にはいつも救われた。劇団員もお世話になったんです」と妹尾さんは当時を振り返る。 劇団の20周年公演に向け脚本家を探していた妹尾さんは、郷田さんへの思いを募らせた。「若手のころドラマ『部長刑事』の悪役に何度か出た時、ディレクターだった郷田さんとお会いして共感したんです」。郷田さんは後に「土曜ワイド劇場」のチーフプロデューサーなどを務め多忙な日々を送っていたが、妹尾さんは「いつか一緒に芝居をやりたい」という思いを胸に抱いていた。「僕と年齢も近いし、もうそろそろ時間もあるかな?」と思い、知り合いを通じて郷田さんに連絡。会う約束をとりつけた。 そして、郷田さんのいる東京・品川を訪ね2人は35年ぶりの再会を果たす。「郷田さんの第一声は『1つの劇団を20年続けるのはすごいことですね』だったんです。それがうれしくて」。後に公演の脚本を依頼すると「僕でいいんですか」と快く引き受けてくれた。依頼した作品は、あの「清八そば」のおかみさんをモデルとしたもの。「いつかこの話しをやりたくて。郷田さんとお会いしてから、これに決めたんです」。