「ランブレッタ、モトモリーニ、SWM」名門イタリアンブランドの最新モデルに注目! EICMA2023レポート
SWM「かつてはオフロード車メインだったが、今日では1200ccクルーザーやサイドカーなども展開」
「SWM」(エスダブリューエム)は、1971年にイタリア・ミラノで創業し、トライアル、エンデューロ、モトクロスマシンなどを手掛け、オフロードのレースシーンで活躍してきたメーカーだ。しかし1984年に車両の生産を終え、SWMは歴史から消えたかと思われた。 さて、ここからの経緯はちょっと複雑だ。2007年、ハスクバーナはMVアグスタ(元の社名はカジバ)傘下にあったがこれを売却、BMWがハスクバーナを買収した。しかし2013年、BMWはハスクバーナをKTMに売却する。このときアプリリアからカジバ、ハスクバーナへ移籍してエンジニア兼テクニカルマネージャーを務めていたアンペリオ・マッキはSWMの名を復興して独立、中国・シャンレイグループと提携してその傘下へ入ったのだ。 その際に北イタリアのビアンドロノ(ヴァレーゼ湖の南の畔にあり、対岸の北の畔にはMVアグスタの本社工場がある。そしてMVアグスタも現在はKTM傘下)のハスクバーナ工場はSWMが買収し、現在もSWMのバイクはここで生産されている。 また、KTMがハスクバーナとフサベルを統合して買収したこともあり、ハスクバーナのエンジン/車体はKTMベースになった。そしてハスクバーナがもともと生産していたエンジン/車体のノウハウはSWMに受け継がれたのだ。 ヴァレーゼ湖は北イタリアにある小さな湖だが、この湖畔をめぐってヨーロッパのバイクメーカーはしのぎを削っていたのである。ちなみに、ヴァレーゼ湖の攻防とは無関係だが、ヴァレーゼ湖から東へ90分ほどバイクを走らせるとコモ湖という「人」の字のような形をした湖がある。その東岸にマンデッロ・デル・ラーリオという小さな町があり、ここにひっそりとモトグッツィの本社工場がある。 さらに余談を重ねると、ここから北東へバイクを走らせアルプスを越えて6時間ほど行くとBMWの本拠地ミュンヘンに着く。ついでにいうと、ヴァレーゼ湖からドゥカティ本社があるボローニャまではバイクで3時間半ほど、アプリリアがあるノアーレもだいたい同じ距離である。 閑話休題。 日本へはMVアグスタジャパンが輸入を行い、小排気量モデルを販売。ここでは日本未導入のSMWを紹介しよう。「Sidecar 520」はその名の通りのサイドカー付きバイク。54psを発生するエンジンは494cc水冷並列2気筒で、5速ミッションを搭載する。ちなみにエンジンには「Shineray」(シャンレイ)の名が刻まれる。 続いて「STORMBREAKER V1200」(ストームブレーカーV1200)は、1200cc空冷V型2気筒エンジンを搭載するアメリカンクルーザー。イタリアでは少数派の貴重な存在だ。 「GRAN MILANO 500」(グランミラノ500)は494cc水冷並列2気筒エンジンを搭載するモダンクラシックネイキッド。最高出力は48psで、ヨーロッパA2ライセンスに対応するエントリーモデルだ。