2024年「農業」倒産 過去最多87件 きのこ業者や農業ベンチャーの倒産が増加
「農業」の倒産 2020年を上回り、最多を更新
「農業」の倒産の年間推移は、2020年に80件発生し、コロナ禍に伴う急激な需要減から倒産が増加した。その後、2021年はコロナ関連支援が浸透して42件と半減したが、2022年以降は深刻な燃料高・飼料高でコストアップが収益を直撃。さらに、畜産業での伝染病など想定外のリスクで大手業者の破たんが相次ぎ、再び増加に転じた。 2024年は燃料や飼料の高止まりに加え、コロナ関連支援の縮小による息切れやあきらめ倒産が増加。これまで最多だった2020年を超えて、過去最多を更新した。
【業種別】「野菜作農業」が最多 きのこ類生産業者の倒産が高止まり
業種別(小分類)では、最多が「耕種農業」の58件(前年比26.0%増)だった。耕種農業のうち、最多は野菜作農業の36件で突出した。36件のうち、きのこ類の生産業者の倒産が13件だった。きのこ類の生産業者の倒産は、2022年4件、2023年14件、2024件13件で推移。前年以降に急増したが、2024年も引き続き高止まりの状況が続き、負債10億円以上の大型倒産も2件発生した。 きのこ類は省スペースで生産が可能な反面、温度や湿度管理が求められるため、燃料費の高騰が経営を直撃している。また、「令和の米騒動」としてクローズアップされた米作農業は7件(前年2件)と急増し、米価上昇が事業環境の好転に繋がった気配はみられない。 次いで、「畜産農業」の25件(同4.1%増、前年24件)で、前年と同水準だった。このうち最多は養鶏業の8件(前年3件)、酪農業の7件(同4件)、肉用牛生産業が4件(同5件)と続く。「畜産農業」も引き続き飼料や燃料費の高騰が継続し、関連業者の経営を圧迫している。こうしたなか、2024年の秋口以降は全国的な鳥インフルエンザの伝染拡大が深刻化しており、業界への影響が注目される。