魔界・京都通の土産「幽霊子育飴」とは?子を想う母の愛と謎めく地名の理由
京都に行った時に買って帰るお土産にはいろいろなお菓子がありますが、今日はそんな中からちょっと変わり種のお菓子を紹介します。それも京都の魔界に深い縁のあるお菓子です。お菓子の名前は「幽霊子育飴」と言います。実に変わった名前ですね。甘くておいしい飴の名前に“幽霊”という名前がついていることなど普通は考えられません。この風変わりな名前の由来は一体どこから来たのだろうかというところからお話しします。
「幽霊子育飴」の由来とは?
この「幽霊子育飴」を売っているのは京都市東山区にある「みなとや」さんというお店ですが、このお店は創業450年以上にもなります。ある時店じまいをした店主がふと気が付くと雨戸をたたく音が聞こえます。開けてみると、そこには青白い顔をした女の人が立っており、一文銭を差し出して「飴を売ってください」と言うのです。店の主人は不審に思ったものの差し出されたお金と引き換えに飴を売ってあげると、女は黙って帰っていきました。 次の日もまたその次の日も買いに来ます。さすがに不思議に思った店の主人が女のあとをつけていくと、近くにある墓地の中に入っていきます。やがて赤ん坊の泣き声が聞こえるので、声のするところを掘り返してみるとそこには店に通ってきていた女の亡骸と飴をしゃぶっている赤ん坊がいるではありませんか。この女は死んだあとに子供を産んだのです。ところが自分は死んでいるので乳がでません。そこで赤ん坊を育てるために三途の川の渡し賃として持っていた六文銭を持って飴を買いに来ていたというわけです。 気の毒に思った店主が赤ん坊を抱いて家に帰って以降は女が店を訪れることはなくなったといいます。やがてこの赤ん坊は近くのお寺に引き取られて育てられ、後に高僧になったという、これがこの飴にまつわる話です。この話が世に伝わることでいつしか誰が言うともなく、この「みなとや」さんで売られている飴のことを「幽霊子育飴」と称されるようになったということです。亡くなった母の魂が、わが子のために飴を買い大切な子の命を守りぬいたという言い伝えです。