平均223万円…60代・定年世代「高齢期を見据えたリフォーム」知って得する補助金・助成金制度
高齢期を見据えたリフォームのポイントをまとめたガイドライン
国土交通省では、50~65歳をプレシニア、65~75歳をアクティブシニアと定め、高齢期の住まいの備えは早い時期に行うことを推奨。改修の際に配慮すべきポイントを取りまとめたガイドラインを公表しています。 ガイドラインで目指す住まいのイメージは以下の4つ。「快適で長く暮らせる住まい」というのが、目指すべき住まいとしています。 1.長く健康に暮らせる住まい 安全・安心で、身体的・経済的な負担が少なく、外出や家事に便利 2.自立して自分らしく暮らせる住まい 外出、趣味、交流など豊かな高齢期のライフスタイルに応じた空間を確保 3.介護気になっても暮らせる住まい 手すりの設置や福祉用具の使用など軽微な対応で暮らしつづけられる 4.次世代に継承できる良質な住まい 長寿命化に対応し、子どもや孫にとって住みやすい また具体的な配慮事項として、8つの項目を定めていますが、特に重要と考えられる項目としては以下の4つを定めています。これは置き換えると「高齢になっても住みやすい家の条件」ともいえるでしょう。これからもトイレや浴室など、水回りのリフォームが多いことにも納得できるのではないでしょうか。 1.温熱環境 ・開口部など住宅の断熱性を高め、暖冷房設備を適切に設置する ・ 居室と非居室の間で過度な温度差を生じさせない 2.外出のしやすさ ・玄関や勝手口から道路まで安心して移動できるようにする ・外出や来訪のしやすい玄関とする 3.トイレ・浴室の利用のしやすさ ・寝室からトイレまで行きやすくする ・トイレ、脱衣室や浴室の温熱・バリアフリー環境を確保する 4.日常生活空間の合理化 ・日常的な生活空間を同じ階にまとめる ・よく利用する空間を一体的にし、広く使えるようにする
高齢期を見据えた「リフォーム」活用したい補助金・助成金制度
70代、80代、さらにその先も自宅で快適に暮らすためのリフォーム。ガイドラインを設けて促しているとはいえ、懸念はその費用。前出の『令和4年 住宅市場動向調査』によると、戸建てのリフォーム、ローンを利用しているのはわずか6.1%。ほとんどの人が自己資金のみで定年後のリフォームを実現しています。 とはいえ、定年、そして現役引退で収入の先細りが見えているなか、予算が潤沢にあるわけでなく、誰もが工事費用は安く抑えたいと考えているもの。そこで活用したいのが、補助金・助成金制度です。リフォームに関して活用しやすいのは、(1)「介護・バリアフリー」(2)「エコ・省エネ」(3)「耐震性確保」の3つ。 「介護・バリアフリー」のリフォームの際に、利用しやすい助成金制度のひとつが「介護保険」。要支援・要介護者が住む場合、20万円を上限に自己負担金1~3割で、手すりやスロープ設置などを行うことができます。また地域によっては高齢者の住まいであれば、バリアフリーリフォームのための補助金を受給可能なケースも。 「エコ・省エネ」のリフォームで申請できる補助金制度は、国が支援するもののほか、自治体独自で用意するものなど、数多くあります。断熱リフォームの際に申請できる「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」や「次世代省エネ建材の実証支援事業」は人気がある制度で、たとえば断熱パネルや潜熱蓄熱建材を導入する改修工事を行う際、「次世代省エネ建材の実証支援事業」により、一戸建てなら200万円/戸を上限に、補助対象経費の2分の1が支給されます。 「耐震性確保」のリフォームで補助対象になりやすいのは1981年5月31日以前に建築確認を受けた、旧耐震基準時期の建物。ただ自治体により対象になる建物等は異なり、2000年(平成12年)5月31日以前という自治体も年々増加しています。 多くの自治体でリフォームに対する補助事業が実施されてていまが、条件等は異なるので詳細については居住する自治体に確認をしましょう。 またバリアフリーや省エネ、耐震などのリフォームについては、自己資金で行う場合、それぞれ最大で20万~25万円程度が所得税から控除。固定資産税は、1年間に限り2分の1~3分の1程度減額されることも。このように「リフォーム減税」も忘れずに活用したいもの。年によってその内容は変わる可能性があるので注意が必要です。 [参考資料] 国土交通省『令和4年 住宅市場動向調査』 国土交通省『高齢期に備え早めに住まいを改修しましょう!』 国土交通省『住宅リフォームの支援制度 ※令和5年6月16日時点』
【関連記事】
- 子ども3人、全員「オール国公立」で有難いが…年収1,200万円の58歳部長「退職金2,500万円でも全然足りません」定年間際の焦燥【FPが解説】
- 定年後は家でダラダラ過ごす年金16万円、65歳の元サラリーマン。「退職金と貯金で2,500万円だし、出不精・倹約家だから大丈夫」と思いきや…老後破産となったワケ【FPが解説】
- 月収48万円・大卒会社員「定年退職金2,000万円」で意気揚々も〈老後崩壊〉の想定外「何かの間違いでは」
- 自宅に「家を売りませんか?」というチラシが頻繁に入る理由
- 税務調査官「かっこいい腕時計ですね」…年収700万円、55歳の“普通のサラリ-マン”に「多額の追徴税額」が課されたワケ【税理士が解説】