【ラグビー】日本代表屈指のハードワーカー。マロ・ツイタマは「常に攻撃のオプションに」
たくさんトライを決められる。持ち味はそれだけではない。 ラグビー日本代表のマロ・ツイタマは、静岡ブルーレヴズの一員として昨季の国内リーグワン1部で最多トライゲッターに輝いている。 国内での連続居住年数をクリアして日本代表に入ると、8月下旬から参戦するパシフィックネーションズカップ(PNC)の予選プールにあって2戦連続でフィニッシュした。 もっともエディー・ジョーンズヘッドコーチは、得点した結果よりも得点までの過程をよく見る。ニュージーランド出身でアイルランド代表の万能な左WTBを引き合いに、新戦力の器用さを讃える。 「マロは優れた選手。キック、ステップが得意。アイルランドのジェームズ・ロウになる」 9月15日、東京・秩父宮ラグビー場。PNCの準決勝に本職の11番でプレーした。自らインゴールを割ることこそなかったものの、サモア代表を49-27で下すまで縦横無尽に動いた。 攻めては何度も持ち場と逆側の右サイドへ回った。攻撃ラインに数的優位を作ったり、パスをもらって得意のランを繰り出したり。本人はこうだ。 「常に攻撃のオプションになりたい」 35-20とリードして迎えた後半14分頃には、自陣で手にした球を左奥のスペースへ大きく蹴った。処理役を後退させ、自ら弾道を追いかけた。向こうが蹴り返そうとするところにプレッシャーを与え、大きく陣地を挽回した。おかげで得点機を生み、その後は自らも突進役を担った。追加点に喜んだ。42-20。 身長182センチ、体重91キロの28歳。かねて「常に目標を高く持ちたいタイプ」と強調するこの人は、謙虚に述べる。 「3度のテストマッチ(代表戦)に出られましたが、まだまだ学ぶこと、改善点が多い。来週に向けて今日の試合をよく見て準備したいです」 ジョーンズが『超速ラグビー』を唱える集団にあって、「テストマッチは展開が速いと感じます。自分たちの速さ、試合そのものの流れの速さ、両方にそう感じます」とツイタマ。進歩を楽しむ。 21日には東大阪市花園ラグビー場で、フィジー代表との大会決勝へ11番で先発する。タフに働く。 (文:向 風見也)