【独自解説】『103万円の壁』より難攻不落?国民民主党・玉木代表に立ちはだかる実現までの“3つの壁” 税制を決める希望に繋がる“交渉相手”とは?問われる党首の器
ただ、もし今の自民党代表・石破氏が「玉木代表の言うことを呑みます」となった時、宮沢氏が反対したら、石破氏は宮沢氏に対して「交代してくれ」と言えるでしょうか。岸田前首相とはいとこ同士ということもあり、「ちょっと政権として困るんだ」という話も聞いてくれたかもしれませんが、石破氏と宮沢氏がどんな関係かは、誰にもわかりません。会長とはいえ自民党の中の役職なので首相のほうが上ですし、宮沢氏は「無視しておる」なんてことは言わないでしょうが、どうなるかわかりません。
■“死に物狂い”の玉木代表も「難しさはわかっている」 希望となる交渉相手とは?
玉木代表も「死に物狂いで」とは言いながら、財務省出身なので、難しさはわかっています。ただ、国民民主党の交渉相手は『インナー』のお一人、森山幹事長です。『インナー』として名を馳せている方なので、税金に詳しいです。希望を繋ぐのは、ここです。
■“ガソリン減税”と『103万円の壁』 実現の可能性が高いのは…
今回、国民民主党の要求は、2つあります。“トリガー”という言葉でいわれていますが、ものすごく簡単に翻訳すると、ガソリン減税です。こちらは、東日本大震災を受けての一時的な措置です。もう1つは、“働き控え”に繋がる『103万円の所得税の壁』を上げましょうというものです。
問題は、この2つには大きな差があることです。どちらが実現する可能性が高いかというと、実は“ガソリン減税”です。東日本大震災を受けてのことなので、一時的だからです。『103万円の壁引き上げ』は、ずっと続く制度だから難しいです。ただ、こちらで自民党に歩み寄ってもらわないと、玉木代表の顔が立ちません。
■様々な壁が立ちはだかる中、迫る“時間の壁” 妥協か、貫くか…玉木代表の決断は―
今の時点では、玉木代表は「0か100%か」と言っていますが、大方の予想は、「一度にやったら無理です」という話にして、ほどほどの真ん中で落とし込んでくるでしょう。
なぜかというと、103万円を178万円に引き上げると、7兆~8兆円の減収になるからです。7兆~8兆円というと、消費税3%~4%分と一緒です。だから、「いきなりその減収は、いくらなんでも…」というような話が出て、「140万ぐらいかな」という話になるのではないでしょうか。ただ、今度は日付の壁があります。
2024年12月31日です。2025年の国会で審議する2025年の予算は、年末までに上げますが、予算を作るなら、その前に税金を当てないといけません。タイムリミットがある中で、玉木代表は妥協するのか、貫くのか―。(『読売テレビ』高岡達之特別解説委員) (「かんさい情報ネットten.」2024年11月4日放送)
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