大谷選手、松本人志氏が抱える成功者に潜む危機 頂点君臨で蓄えられる「位置エネルギーリスク」
世の中には、大富豪、飛びぬけて優れたルックス、最高の学歴、多様な能力など、人並外れた存在の人がいます。そうした人は、本人の意思とは関係なくあこがれの対象となったり、何らかの社会的リーダーのような存在となる可能性が高いのです。 一人で上場企業の売り上げ規模にも匹敵する約1000億円の契約を得た大谷選手は、メジャーリーガーの中でも突出した評価を得たことで、名実ともに頂点に立つ存在となりました。お笑い界における松本氏も同様です。
■評価の高い人ほと落下も激しい また、最近では元NHKの青井実アナウンサーがフジテレビの夕方ニュースのキャスターとなることが発表されました。青井アナは大手百貨店創業者一族出身で、幼少時から慶応育ち、さらにルックスにも恵まれ、これまた「持っている人」といえるでしょう。 この青井アナの行動には多くの批判が集まりました。その一つが「変わり身が節操なさすぎる」というものですが、NHKを辞めて民放に移ることはいくらでも前例があります。
青井アナに関しては、NHK時代に、規定に反して上司に報告せずに親族企業から役員報酬を得ていたことで厳重注意を受けてもいました。これは本人にも責任はありますが、批判がここまで大きくなったのは、青井アナが「持っている人」だったことと無関係ではないでしょう。 こうした人たちは、賞賛だけでなく、批判も呼びやすい大きなリスクを抱えています。物理学でも、高い位置にあることは、それだけ下に落ちる大きなエネルギーを蓄えていることとされます。社会的評価の高い人は、評価が落ちるリスクを抱えているといえるのではないでしょうか。
コロナのパンデミックの時、高齢者や基礎疾患者は「高リスク者」と呼ばれ、厳重な注意が呼びかけられました。もちろん注意するだけで絶対に罹患しないとはなりません。しかし少なくとも生命の危機に際して、用心深い行動を取ることに真剣に向かい合った人は多かったのではないでしょうか。この危機感こそがリスク管理の基本です。 「危機はあってはならない」というのは、何の役にも立たない精神論で、危機管理ではありません。「危機は必ずある」のです。