政治とカネ、区割り変更、野党の一本化…衆院選を振り返る 中国地方
27日投開票された衆院選は、中国地方の17小選挙区で与党が後退し、野党は勢力を伸ばした。比例代表中国ブロック(定数10)は旧民主党勢力が議席を倍増させた。自民党派閥の裏金事件や小選挙区の区割り変更、野党の一本化・競合はどう影響したのか。選挙戦を振り返った。 【グラフ】中国地方17小選挙区の得票数
【政治とカネ】楽観論一転 野党攻勢
中国新聞社が27日に実施した出口調査では、最も重視した政策や争点として「政治とカネ」問題を選んだ人が25・9%。経済対策の26・1%に続いて2番目に多かった。 「さすがに寺田先生が負けることはないよ」。広島4区の自民党の寺田稔氏(66)の陣営幹部の一人は選挙戦の序盤、情勢を楽観視していた。事件による逆風下でも、中国新聞社の期日前投票の出口調査で17、18日には寺田氏がリードしていた。 潮目が変わったのは、事件に関係した非公認候補の自民党支部に党本部が活動費2千万円を支給していたことが報じられてからだ。石破茂首相(党総裁)は24日、広島市安佐南区での街頭演説で支給の正当性を訴えて「報道に憤りを覚える」と主張。野党から批判が相次ぎ、24、25日は広島4区の出口調査では日本維新の会の空本誠喜氏(60)のリードに転じた。 野党は攻勢を強めた。広島2区の国民民主党の福田玄氏(42)は街頭で「公認隠しだ」と主張。与党批判票を集め、比例中国で復活当選した。広島3区の公明党の斉藤鉄夫氏(72)は自民党と同じ与党として防戦を迫られ、得票数を2021年の前回選に比べ11・4%減らした。 立憲民主党も追い風に乗り、序盤から先行していた広島5区の佐藤公治氏(65)と島根1区の亀井亜紀子氏(59)が優位な展開で当選を決めた。自民党は広島4区と岡山4区で敗れた一方、山口2区と岡山2区では底力を見せて逆風をしのいだ。
【区割り変更】新エリア 勝敗左右も
小選挙区の「10増10減」に伴う区割り変更も選挙戦に影響を与えた。山口2区は全域が新たなエリアとなった周南市が焦点に。1724票差の接戦を制した自民党の岸信千世氏(33)は、立憲民主党の平岡秀夫氏(70)に周南市で2848票差をつけて勝利をつかんだ。 広島市安芸区が加わった広島3区。国土交通相として圧勝を目指した斉藤氏だったが、安芸区では立憲民主党の東克哉氏(43)に324票差に迫られた。旧広島4、5区の大半が統合された広島4区は、旧5区を地盤とする寺田氏が旧4区の東広島市で1万票近く、旧4区を拠点にする空本氏より下回った。 安芸郡3町が加わった広島1区の自民党の岸田文雄氏(67)、旧岡山3、5区の大部分が合わさった岡山3区の自民党の加藤勝信氏(68)は新たなエリアでも盤石だった。