政治とカネ、区割り変更、野党の一本化…衆院選を振り返る 中国地方
【野党の一本化・競合】共闘進まず乱立状態
17小選挙区で共産党が前回選より7人多い15人を立てた影響もあり、野党が乱立状態になった。 広島3、4区では野党が事実上の候補一本化を図る動きも見られた。日本維新の会は公示直前、不適切な会計処理をしたとして広島3区の新人の公認を取りやめた。一方、立憲民主党は広島4区で新人の擁立を準備していたが見送った。 結果、広島4区は空本氏が自民党批判票の受け皿となり、小選挙区で競り勝った。広島3区は東氏が惜敗率で8割を超え比例復活を果たした。 野党が競合した中国地方の小選挙区数は2党が11、3党は3、4党は1だった。競合区の与党候補の票と野党候補の合計票を比べると、与党候補が勝利した広島2区、岡山1、2区で野党候補の合計票が上回った。野党が一本化できていれば勝てた可能性がある。 与野党一騎打ちの2小選挙区は野党がいずれも接戦に持ち込んでおり、与党側には野党の一本化を警戒する声が強い。ただ、立憲民主党広島県連内には「共産党と協力すれば、離れていく票がある」との声もある。各党には小選挙区に候補者を立てることで比例票を上積む狙いもある。
【比例中国】旧民主勢力倍増 4議席
定数が1減の10となった影響もあり、激戦になった。立憲民主党は3議席、国民民主党は1議席を獲得。旧民主党勢力は計4議席になり、前回選の立憲民主党の2議席から倍増となった。特に国民民主党は前回比で3倍近い30万票を集めた。 日本維新の会は得票数が前回選よりも10万票近く少ない18万票余りにとどまり、公示前の1議席を失った。共産党は裏金事件の追及に力を入れたが、得票数ではれいわ新選組も下回り、議席奪還もかなわなかった。 与党は事件の逆風が響いた。自民党は公示前より1減の5議席。党広島県連関係者は「山陰地方で石破首相就任による期待もあり、1減で踏みとどまった」とみる。 公明党は09年以来、15年ぶりの1議席となり、公示前の2議席を死守できなかった。前回選で2議席目が最後の11番目だったため危機感を強めて引き締めを図ったが、得票数は35万票と前回選から2割減らした。
中国新聞社