『呪術廻戦』の世界を彩る珠玉の名曲たち 原作完結を前に振り返るKing Gnu、Eveらアニメ主題歌の軌跡
第2期『懐玉・玉折』、「青のすみか」「燈」OP/ED映像にも注目
アニメのオープニングやエンディングムービーは、音楽ありきで作られるのが常だが、リズムを軸に絵を切り替えて展開するパターンが多い。しかし「青のすみか」と「燈」は、その定番パターンを覆すような作り方をしている部分もある。実はこのパターンは、改めてこれまでの映像を見返してみると、第1期の第2クールでその片鱗が見え隠れしているのだ。オープニングテーマとなったWho-ya Extended「VIVID VICE」では、リズムよりもコードや曲調を主軸に映像のストーリーが展開。最後のギターの音に合わせて映像にもギターが登場し、その後のドラムのブレイクに合わせてフラッシュのように高速で映像を変えるなど、“リズム”と“リズム以外”での切り替え、両方にチャレンジしていることが窺える。 話を第2期『懐玉・玉折』の2曲に戻そう。「青のすみか」は、サビでスケール感を上げていくサウンドに合わせ、映像でも空間の奥行きを活かすフレーミングでスケール感をリンクさせることに成功している。エンディングテーマの「燈」は、ギターの弾き語りで始まる、決して音数は多くないミディアムバラード。その音像に合わせて、映像の情報量も少なく、丁寧に紡ぐような構成になっている。一定のテンポで変わっていく映像が言葉単位で歌詞とリンクし、曲を明確に映し出していく。このエンディングムービーは、雨のシーンから始まるが、最後は青く晴れた空の下で五条と夏油が歩き出すシーンで終わる。もしや、このシーンがオープニングムービーの青い空に繋がっているのか……などいろいろと深読みしてしまう。深読み合戦は『呪術廻戦』ファンにとってはお馴染みだが、最終回が近づいてもなお、SNSではファンによる深読みや考察が繰り広げられている。 また、「まったく終わる気がしない」という言葉も目立つ。そんな中で、原作者・芥見下々は完結が発表となったタイミングで「自分の望んだ形で物語を締めくくることができるのは、ひとえに読者の皆様のご支援とご協力のおかげです。ありがとーう!!『呪術廻戦』を支えてくれた、できるだけ多くの人達が納得できる(多分)ような最終回を鋭意制作中です。それでは皆さん!!平にご容赦下さい!!」(※1)と、コメントを寄せている。 原作の最終回を前に、『呪術廻戦』「懐玉・玉折」の総集編が、2025年に劇場版として公開されること、芥見下々『呪術廻戦』展が東京に続き、2025年に大阪と福岡で開催予定であることなどが発表になった。アニメの続編『死滅回游』の放送時期の発表も待たれるアニメ『呪術廻戦』シリーズ。筆者は単行本を全巻所持しているが『死滅回游』に入ってからは、新刊が出る度に3巻くらい戻っておさらいをしないとついていけないほど、濃密で情報量(呪術を物理的に説明しようとしている)の多いストーリーが展開されている。もちろん最終回は気になるところだが、明らかにタッチが変わった原作がどう動くのか、あのシーンはどう描写されるのか、そしてその映像に、どう音楽がシンクロするのか、どんなヒット曲が生まれてくるのか……考えれば考えるほど楽しみは尽きない。 ※1:https://www.cinematoday.jp/news/N0144510
伊藤亜希